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[G-P-3]Petrological and Geochemical studies of Oligocene and Early Miocene mafic rocks in Noto Peninsula

*Yuki Hashimoto1, Toshiro Takahashi1, Akitaka Shibano2 (1. Graduate School of Science and Technology, Niigata University, 2. Pacific Consultants Co.,Ltd)
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Keywords:

Noto Peninsula,Oligocene,Early-Miocene,Mafic rock,Sea of Japan Opening

 北陸地域には日本海拡大に伴って形成されたと考えられる火山岩類が広く分布している.能登半島北東部には前期中新世に堆積した合鹿層,神和住層,宝立山層が堆積しており,それらに貫入したとされるドレライトが分布している(吉川ほか,2002).中~南西部には漸新世~前期中新世にかけて噴出した玄武岩類が穴水層として分布している(上松ほか,1995).本発表では,能登半島に産する苦鉄質岩を岩石学的・地球化学的に解明することで、共通性や相違点を報告する.
能登半島苦鉄質岩は全岩SiO2,KO,FeO*/MgO,横軸に全岩MgOをとるハーカー図,始原マントル規格化パターン図,REEパターン図に基づいて3つのType(A~C)に分類した.Type Aは中~南西部に産出する玄武岩類から構成され,低カリウム系列で,SiO2-FeO*/MgO図においてカルクアルカリのトレンドを示し,MgO wt.%が比較的富み,各パターン図では比較的枯渇的な特徴を示す.Type Bは北東部に産出する合鹿層と神和住層に貫入するドレライトから構成され,中~高カリウム系列で,SiO2-FeO*/MgO図においてソレアイトからカルクアルカリのトレンドを示し,MgO wt.%が比較的乏しく,各パターン図では比較的肥沃的な特徴を示す.Type Cは北東部に産出する宝立山層に貫入するドレライトであり,Type AとType Bの中間的な組成を組成及びパターン図を示す.特にType Aの一部は未分化玄武岩とされており,ノルム組成などから,結晶分化作用によってそのほかの玄武岩類が形成された可能性がある.しかし,不適合度が類似しているZr/Nb比やマスバランス計算からは単純な結晶分化作用だけでは説明できない.そのため,それぞれ異なる生成機構であるとして沈み込みにおける成分を考えると、Type Aは純粋なDMMマントルが起源であるが,Type Bは堆積物メルトの関与が大きく,Type Cは中間的であることがわかった.また,太平洋MORBと日本海溝堆積物の組成混合線上にType A~Cすべてがプロットされることから、日本海溝堆積物のメルトが関与していることがわかる。
Type A~Cについて地球化学的判別図を用いると,Type AはVAB(火山弧玄武岩)であり,Type BはWPB(プレート内玄武岩)に区分され,Type CはType AとType Bの中間的な組成をもつテクトニクスと区分される.特にType Bについて,日本海拡大における沈み込み成分を区分することができないため,SGTPRE(Ueki et al.,2023)を用いると,陸弧性テクトニクスの寄与が判別された.このことは,地殻要素を含む陸弧性テクトニクス場を地球化学的判別図では区分できなかったため,Type Bは見かけ上のWPBであり,実際は陸弧性のテクトニクスであることが考えられる.また,Type AについてもSGTPREを用いると,背弧海盆玄武岩に区分される玄武岩類があり,能登半島苦鉄質岩は陸弧~島弧のテクトニクス変遷と背弧海盆の形成を表していると考えられる。
以上のことから,能登半島苦鉄質岩はマントルソースの部分溶融度及びスラブ起源物質の寄与度,日本海拡大におけるテクトニクスセッティングとの関連性を想定する必要があると考えられる.

〈引用文献〉
吉川ほか,2002,地域地質研究報告5万分の1地質図幅
上松ほか,1995,地質学論集第44号,101-124
Ueki et al.,2023,G3,volume25,Issue2