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[J-P-13]Comparison of foraminiferal fossils contained in “Awaishi” limestone from Okinawa Islands and their differences in depositional environments

*Tomigusuku Junior High School Science Education Academy of the Ryukyus1 (1. Tomigusuku Junior High School/Science Education Academy of the Ryukyus)
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 研究者生徒氏名:鶴田湧丸

 粟石(あわいし)とは星砂で有名な有孔虫の死骸や砂などが固まった石灰岩である。琉球石灰岩の中でも港川石灰岩と呼ばれている新しい石灰岩で、後期更新世にできたとされている。名前の由来は、お菓子の“粟おこし”に似ていることから名付けられたとされている。軟らかく、加工がしやすいため、明治時代から建材などに多く使われてきた。粟石についてわかっていることは、沖縄本島中南部と周辺の離島にあることや、有孔虫以外の化石も粟石を作っていることであり、わかっていないことは各島の粟石の中に含まれる有孔虫化石の種類やその違い、粟石がどのような環境でできたのかである。そこで沖縄の島々の粟石を比較して、どのような有孔虫化石が含まれているのかと、その粟石がどんな場所や環境でできたのかを明らかにすることを目的とした。
 沖縄本島中南部の浦添市のカーミージーと八重瀬町、伊計島、津堅島、野甫島で粟石を採取した。採取した試料をハンマーで割り、新鮮な面の色、固さ、粒の大きさ、どのような有孔虫がいるのかをルーペなどで観察した。試料を薄片にして、顕微鏡で観察して、各地の粟石の中にどのような有孔虫がみつかるのかを調べて、有孔虫の多さを円グラフで表した。そして、生きている有孔虫のすんでいる環境と比較して、おおよそどのような環境でできたのかを明らかにした。
 目視観察の結果、カーミージーは、薄い黄土色で、ところどころ固くなっていて、粒子がとても細かかった。八重瀬は、薄い茶色で、石の表面が固くなっていて、粒子は細かかった。伊計島は、白っぽい黄土色で、粒子は5ヶ所の中で中間ぐらいだった。津堅島は、茶色で、とてももろく、粒子はかなり粗めだった。野甫島は、白と黄土色の層状という独特な模様をしており、粒子は5ヶ所の中で一番粗かった。
 顕微鏡観察の結果、各地の有孔虫化石の種類を多い順に示す。
カーミージー:マージノポーラ、カルカリナ、アンフィステジナ・ラディアータ
 八重瀬:マージノポーラ、カルカリナ、アンフィステジナ・ラディアータ、アンフィステジナ・レッソニー、ヘテロステジナ
 伊計島:カルカリナ、アンフィステジナ・ロビフェラ、バキュロジプシナ、アンフィステジナ・ラディアータ
 津堅島:カルカリナ、アンフィステジナ・レッソニー、マージノポーラ、アンフィステジナ・ラディアータ、バキュロジプシナ、アンフィステジナ・ロビフェラ
 野甫島:カルカリナ、アンフィステジナ・ロビフェラ、バキュロジプシナ、マージノポーラ、アンフィステジナ・ラディアータ、アンフィステジナ・レッソニー
各地の粟石の中には、全体的にカルカリナが一番多く含まれていた。カーミージーと八重瀬ではマージノポーラが多く、伊計島と津堅島と野甫島はカルカリナが多く、バキュロジプシナも見ることができた。このことからカーミージーと八重瀬の粟石は、伊計島、津堅島、野甫島の粟石よりも深いところで形成されたと考えられる。

キーワード:粟石、琉球石灰岩、沖縄、有孔虫、環境