Presentation Information
[J-P-16]Scoria washed ashore on the coast of Kinan, Japan, in July 2024
*Wakayama Prefectural Tanabe Senior High School1 (1. Wakayama Prefectural)
研究者生徒氏名:楠本和真,畑平 梨湖,廣井琴好
2024年7月,和歌山県白浜町の海岸で多数のスコリアが漂着しているのを発見した.県内の海岸において,軽石の漂着は古くから知られているが(原田,1988),多数のスコリアが漂着した例は近年なく,その特徴を観察することで噴出地点の特定につながる可能性があると考えて,調査を実施した.調査範囲を広げたところ,形態のよく似たスコリアは,和歌山市から串本町に至る紀伊半島西部の海岸に広く漂着していることが確認された.
漂着して間もないスコリアは割れ口が円磨されていない新鮮な状態で,多量の海藻類やペットボトル等のゴミとともに打ち上げられていた.調査地点ごとに,大きいものから順に20個または40個の軽石とスコリアを採取し,長径・中間径・短径を計測した.また,色調や生物付着の有無などの特徴を記録した.採取した軽石・スコリアの一部について,密度を算出した.質量は電子天秤で測定し,体積は水を張った水槽に軽石を沈め,あふれ出した水の量から求めた.軽石およびスコリアの密度は0.41~0.88 g/cm3の範囲にあり,平均0.59 g/cm3であった.スコリアの密度は軽石の密度よりも小さい傾向がみられた.
このスコリアの漂着日は,スコリアが発見される直前で南風の強かった2024年7月10日前後と推定される.今回漂着したスコリアの外見は,2023年10月に硫黄島沖で噴出したもの(国立研究開発法人海洋研究開発機構,2024)と酷似しており,小笠原諸島硫黄島沖の海底火山より噴出・漂流したスコリアが黒潮に乗って,約8ヶ月後に紀伊半島沖へ運ばれたと考えられる.
参考文献
原田哲朗 編(1988)紀の国石ころ散歩.236p.
公文富士夫 編(1998)新版砕屑物の研究法.399p.
国立研究開発法人海洋研究開発機構(2024)南西諸島~関東地方に漂着した小笠原硫黄島由来と考えられる軽石の岩石学的特徴と漂流シミュレーション検討.
https://www.jamstec.go.jp/rimg/j/topics/20240531/pdf/20240530.pdf
キーワード:紀伊半島 スコリア 漂着
2024年7月,和歌山県白浜町の海岸で多数のスコリアが漂着しているのを発見した.県内の海岸において,軽石の漂着は古くから知られているが(原田,1988),多数のスコリアが漂着した例は近年なく,その特徴を観察することで噴出地点の特定につながる可能性があると考えて,調査を実施した.調査範囲を広げたところ,形態のよく似たスコリアは,和歌山市から串本町に至る紀伊半島西部の海岸に広く漂着していることが確認された.
漂着して間もないスコリアは割れ口が円磨されていない新鮮な状態で,多量の海藻類やペットボトル等のゴミとともに打ち上げられていた.調査地点ごとに,大きいものから順に20個または40個の軽石とスコリアを採取し,長径・中間径・短径を計測した.また,色調や生物付着の有無などの特徴を記録した.採取した軽石・スコリアの一部について,密度を算出した.質量は電子天秤で測定し,体積は水を張った水槽に軽石を沈め,あふれ出した水の量から求めた.軽石およびスコリアの密度は0.41~0.88 g/cm3の範囲にあり,平均0.59 g/cm3であった.スコリアの密度は軽石の密度よりも小さい傾向がみられた.
このスコリアの漂着日は,スコリアが発見される直前で南風の強かった2024年7月10日前後と推定される.今回漂着したスコリアの外見は,2023年10月に硫黄島沖で噴出したもの(国立研究開発法人海洋研究開発機構,2024)と酷似しており,小笠原諸島硫黄島沖の海底火山より噴出・漂流したスコリアが黒潮に乗って,約8ヶ月後に紀伊半島沖へ運ばれたと考えられる.
参考文献
原田哲朗 編(1988)紀の国石ころ散歩.236p.
公文富士夫 編(1998)新版砕屑物の研究法.399p.
国立研究開発法人海洋研究開発機構(2024)南西諸島~関東地方に漂着した小笠原硫黄島由来と考えられる軽石の岩石学的特徴と漂流シミュレーション検討.
https://www.jamstec.go.jp/rimg/j/topics/20240531/pdf/20240530.pdf
キーワード:紀伊半島 スコリア 漂着
