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[T11-O-9]Design and Implementation of a Stratigraphic Correlation System Using Web APIs

*Kenichi SAKURAI1,2, Go YONEZAWA2, Tatsuya NEMOTO2, Susumu NONOGAKI3 (1. College of Industrial Technology, 2. Osaka Metropolitan University, 3. Geological Survey of Japan, AIST)
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Keywords:

Borehole data,Stratigraphic Correlation,Three-dimensional geological model

 近年,建築業界や地質調査業界ではDX(デジタルトランスフォーメーション)の実現に向けて,さまざまな地質調査データのデジタル化が進められている.特に,公共工事におけるボーリング調査結果については,デジタル化されたボーリング交換用データ(国土交通省,2016)として自治体に納品された後,国土地盤情報サイト「KuniJiban」[URL1]や一般財団法人国土地盤情報センター[URL2]などを通じて,オープンデータとして広く一般に公開されている.このような公開データは,近隣地域での建設工事における事前調査や,地震時の被害想定を含む防災対策,さらには環境保全に関する施策など,さまざまな場面での二次利用が期待されている.一方で,公開データを有効に活用するための処理技術や,既存システムと連携する仕組み作りは途上段階にあり,今後の技術的進展や運用体制の構築が期待されている.
本研究では,オープンデータとして公開されているボーリング交換用データを,地質調査や地盤調査で二次利用するための技術開発を目的とする.ここではそのような技術開発の一例として,3次元地質モデルを作成する際に必要となる地層対比を,Webブラウザ上で実行できるシステムを開発した.本発表では,開発した地層対比システムの概要と,利用実例を紹介する.
本研究で開発したシステムは,バックエンド側とフロントエンド側の機能に大別される.バックエンド側は,ボーリング交換用データや地質構造に関する情報を蓄積・管理するデータベースサーバー,これらの情報を外部へ提供するAPIサーバー,およびWebブラウザ画面の表示を担うWebサーバーから構成される.
フロントエンド側では,Web-GIS上での地図表示をはじめ,APIサーバーから取得したデータの可視化や選択,地層対比の実行といったインタラクティブな機能を提供する.
クライアント(データ利用者)がAPIサーバーへリクエストを送信すると,その内容に基づき,GeoJSON形式で必要なデータを動的に取得できる仕組みとなっている.それゆえ, HTTPソケット通信に対応した任意の開発言語を用いるなら,Webブラウザに限らず,OSや実装環境に依存しない柔軟なシステム構築が可能となる.
地層対比画面では,データベースに保存された情報に基づき,対比対象エリア内のボーリングデータを柱状図として可視化することが可能である.各ボーリングコアの図模様および色分けは一般財団法人日本建設情報総合センター(2015)に準拠している.また,コア情報に加えて,標準貫入試験結果(N値),孔内水位の測定年月日と孔口からの深度などの付帯情報も併せて表示可能である.さらに,地層対比において重要な判断材料となる観察記事も各コアに対応する形で対比画面上に表示できるよう設計している.加えて,文献資料や過去の調査結果などの画像を柱状図の背景に重ねて表示する機能を備えており,それらを参照しながら地層対比を行うことができる.
本研究では,Web APIの具体的な活用例として,Webブラウザ上で動作する地層対比システムを開発した.今後は本システムの運用を通じて,実運用を行う上での機能充実および操作性の向上等を図っていく予定である.

本研究を行うにあたり,一般財団法人国土地盤情報センターよりボーリングデータ(19万1717本)の提供を受けた.
本研究は,一般財団法人日本建設情報総合センター研究助成の助成を受けたものである(助成番号2023-7).


文献
一般財団法人日本建設情報総合センター(2015)ボーリング柱状図作成及びボーリングコア取扱い・保管要領(案)・同解説.147p.
国土交通省(2016)地質・土質調査成果電子納品要領,50p.
[URL1] 国土地盤情報サイト「KuniJiban」.https://www.kunijiban.pwri.go.jp/jp/
[URL2] 一般財団法人地盤情報センター「NGIC」.https://ngic.or.jp/