Presentation Information
[T12-O-11]Middle Miocene ostracode assemblages from the Ôanzaigawa Formation, Kaminokuni Town, Hokkaido, Japan and its significance.
*Mukai Kazumasa1, Yamada Toshihiro2, Tanaka Gengo3 (1. Hokkaido University, 2. Hokkaido University Science, 3. Kumamoto University)
Keywords:
ostracode,Miocene,MMCO,Hokkaido
中期中新世は全球的に気候が温暖な時期で, 特に約16.9―14.7MaのMid-Miocene Climatic Optimum (MMCO)には, 現在よりも約6℃, 気温が高い気候であった(Zachos et al., 2008). 当時から中緯度に位置していた日本列島沿域には, 熱帯・亜熱帯に適応した生物群が広く分布していたことが知られている.
介形虫化石は古環境の推定や古生物地理を議論する上で, 重要な化石の一つである. 日本の中部中新統産介形虫化石群の研究は, これまで東北から山陰地方を対象に多く行われてきた. 一方で北海道からは, 中部中新統の介形虫化石群の報告は3例 (Mukai&Tanaka, 2023, 2024; 向井ほか, 2025)のみであり, 当時の北日本の介形虫化石群の全容は明らかになっているとは言い難い.
今回, 北海道渡島半島上ノ国町大安在川流域に露出する約17―15Maの中部中新統大安在川層の大型有孔虫化石Miogypsina―Operculina密集層より, 浅海棲介形虫化石群を発見した.
本研究では, 大安在川層中の細粒砂岩~中粒砂岩から採取した10試料中2試料より, 9属19種112個体の介形虫化石を同定した. 産出頻度の高い種はPseudoaurila okumurai, P. ishizakii, Psudoaurila sp. 1 であった. 構成種は, 温帯性種であるPseudoaurila属, Cornucoquimba moniwensis, Paracytheridea neolongicaudata に加えて, 冷温性種であるElofsonella属が産出し, 好冷性種は確認されなかった.
本研究によって確認された介形虫化石群の多様度指数と均衡度指数及およびIrizuki et al. (2004) により指摘されたPseudoaurila属の生息域の推定に基づくと, 暖流の影響を強く受ける湾央で, 海草や海藻が繁茂する浅海域であったことが示唆される. 日本から報告されている約18―14Maの中部中新統介形虫化石群について, 大安在川層と多様度指数と均衡度が近い介形虫化石群を調査した. その結果, Irizuki et al. (2004)の岩村層群(約18Ma)および瑞浪層群(約18Ma)の介形虫化石群と最も類似することが分かった.
約17―15Maの中部中新統大安在川層より産出したPseudoaurila属を中心とする介形虫化石群には, 同時期の他の介形虫化石群よりもMMCO期以前の約18Maから産出した介形虫化石群に近い. MMCO期の北海道は, MMCO期以前の本州の介形虫化石群の避難場所として重要であった可能性がある.
介形虫化石は古環境の推定や古生物地理を議論する上で, 重要な化石の一つである. 日本の中部中新統産介形虫化石群の研究は, これまで東北から山陰地方を対象に多く行われてきた. 一方で北海道からは, 中部中新統の介形虫化石群の報告は3例 (Mukai&Tanaka, 2023, 2024; 向井ほか, 2025)のみであり, 当時の北日本の介形虫化石群の全容は明らかになっているとは言い難い.
今回, 北海道渡島半島上ノ国町大安在川流域に露出する約17―15Maの中部中新統大安在川層の大型有孔虫化石Miogypsina―Operculina密集層より, 浅海棲介形虫化石群を発見した.
本研究では, 大安在川層中の細粒砂岩~中粒砂岩から採取した10試料中2試料より, 9属19種112個体の介形虫化石を同定した. 産出頻度の高い種はPseudoaurila okumurai, P. ishizakii, Psudoaurila sp. 1 であった. 構成種は, 温帯性種であるPseudoaurila属, Cornucoquimba moniwensis, Paracytheridea neolongicaudata に加えて, 冷温性種であるElofsonella属が産出し, 好冷性種は確認されなかった.
本研究によって確認された介形虫化石群の多様度指数と均衡度指数及およびIrizuki et al. (2004) により指摘されたPseudoaurila属の生息域の推定に基づくと, 暖流の影響を強く受ける湾央で, 海草や海藻が繁茂する浅海域であったことが示唆される. 日本から報告されている約18―14Maの中部中新統介形虫化石群について, 大安在川層と多様度指数と均衡度が近い介形虫化石群を調査した. その結果, Irizuki et al. (2004)の岩村層群(約18Ma)および瑞浪層群(約18Ma)の介形虫化石群と最も類似することが分かった.
約17―15Maの中部中新統大安在川層より産出したPseudoaurila属を中心とする介形虫化石群には, 同時期の他の介形虫化石群よりもMMCO期以前の約18Maから産出した介形虫化石群に近い. MMCO期の北海道は, MMCO期以前の本州の介形虫化石群の避難場所として重要であった可能性がある.
