Presentation Information
[T7-O-1]Long- and short-term tectonic cycles and consequent depositional-system changes in forearc, backarc and foreland basins
*Osamu TAKANO1 (1. JAPEX Research Center)
Keywords:
forearc basin,backarc basin,foreland basin,depositional system,tectonic cycle
<はじめに> 各種タイプ堆積盆の埋積過程および堆積システムはどのような規制要素によってコントロールされているのであろうか。高野(2023;日本地質学会(京都)講演要旨)では,堆積盆埋積履歴には長周期のテクトニックサイクルが存在し,その上に短周期の相対的海水準変動サイクルが累重することを指摘している。本講演では,前弧堆積盆,背弧反転リフト堆積盆,前縁堆積盆について,テクトニックサイクルの長〜短周期複合サイクルを例示し,これによって堆積システムがどのように変化するかを議論する。
<前弧堆積盆のテクトニックサイクルと堆積システム変化>前弧堆積盆については,石狩層群,三陸沖堆積盆,常磐沖堆積盆,房総堆積盆,東海沖堆積盆,熊野灘堆積盆(Takano and Waseda, 2003; 高野ほか, 2009, 2010; Takano et al., 2013; Takano, 2017; Takano et al., accepted)を事例として検討を行った。前弧堆積盆では,プレート沈み込みに伴う付加体の形成による外縁隆起帯(trench slope break:以下TSB)の成長(未発達斜面型→リッジ隆起埋積型;Dickinson, 1995)が形状や堆積システムに対する最も重要な規制要素であり,1億年オーダーの長周期のテクトニックサイクルを形成している。これに重なる形で,おもにプレート運動の変化に起因して形成される不整合面を境にした数100万年周期のテクトニックサイクルが形成されている。TSB未発達時には泥質斜面〜スロープエプロン〜海底扇状地システムを主体とし,TSBが発達してリッジを形成すると,閉鎖的内湾〜デルタ〜河川システムが主体となる。中周期の不整合に境されたテクトニックサイクルにおいては,海底扇状地のタイプ変化などが見られる。
<背弧反転リフト堆積盆のテクトニックサイクルと堆積システム変化>背弧反転リフト堆積盆については,新潟〜信越堆積盆,秋田堆積盆(Takano, 2002; Moreno et al., 2016)を事例として検討を行った。反転リフト堆積盆では,急速沈降のsyn-rift期→緩慢沈降のポストリフト期→構造反転期の変化をもって,ひとつの長周期テクトニックサイクルを形成している。堆積盆マスバランスにより,syn-rift期には深海システム,ポストリフト期は上方積層海底扇状地〜珪質岩システム,構造反転期には,砕屑物供給の増加と堆積空間減少に伴い,扇状地〜河川〜デルタ〜陸棚〜斜面〜トラフ充填タービダイトシステムがプログラデーションする。堆積盆の堆積空間と砕屑物供給のマスバランスにより,これらの堆積システムが深海傾向になるか非海成傾向になるか変化することになる。
<前縁堆積盆のテクトニックサイクルと堆積システム変化>前縁堆積盆については,北海道石狩天塩帯堆積盆群,メキシコチコンテペック堆積盆(山本ほか,2002; Takano et al., 2013; Takano, 2017; 加瀬ほか, 2018)を事例として検討を行った。前縁盆地では,スラストシートの活動が盛んになると,砕屑物供給が増えて海底扇状地システムが粗粒になるが,逆にスラスト帯が隆起してダムの役割を果たして沖合側foredeepへの砕屑物供給が止まる場合もある。
<文献> Dickinson, W.R., 1995, In Tectonics of Sedimentary Basins, Blackwell, 221-261; 加瀬善洋ほか, 2018, 地質雑, 124, 627-642; Moreno et al., 2016, The Geology of Japan. Geol. Soc. London; Takano, O., 2002, Sediment. Geol., 152, 79-97; Takano, O. and Waseda, A., 2003, Sediment. Geol., 160, 131-158; 高野 修ほか, 2009, 地学雑誌, 118, 776-792; 高野 修ほか, 2010, 石技誌, 75, 30-41; Takano, O. et al., 2013, In Mechanism of Sedimentary Basin Formation, InTech, 3-25.; Takano, O., 2017, In Dynamics of Arc Migration and Amalgamation, InTech, 1-24; 高野 修, 2023, 日本地質学会学術大会(京都)講演要旨T6-O-23; Takano et al., accepted, Basin Res.; 山本浩士ほか, 2002, 石技誌, 67, 529-537.
<前弧堆積盆のテクトニックサイクルと堆積システム変化>前弧堆積盆については,石狩層群,三陸沖堆積盆,常磐沖堆積盆,房総堆積盆,東海沖堆積盆,熊野灘堆積盆(Takano and Waseda, 2003; 高野ほか, 2009, 2010; Takano et al., 2013; Takano, 2017; Takano et al., accepted)を事例として検討を行った。前弧堆積盆では,プレート沈み込みに伴う付加体の形成による外縁隆起帯(trench slope break:以下TSB)の成長(未発達斜面型→リッジ隆起埋積型;Dickinson, 1995)が形状や堆積システムに対する最も重要な規制要素であり,1億年オーダーの長周期のテクトニックサイクルを形成している。これに重なる形で,おもにプレート運動の変化に起因して形成される不整合面を境にした数100万年周期のテクトニックサイクルが形成されている。TSB未発達時には泥質斜面〜スロープエプロン〜海底扇状地システムを主体とし,TSBが発達してリッジを形成すると,閉鎖的内湾〜デルタ〜河川システムが主体となる。中周期の不整合に境されたテクトニックサイクルにおいては,海底扇状地のタイプ変化などが見られる。
<背弧反転リフト堆積盆のテクトニックサイクルと堆積システム変化>背弧反転リフト堆積盆については,新潟〜信越堆積盆,秋田堆積盆(Takano, 2002; Moreno et al., 2016)を事例として検討を行った。反転リフト堆積盆では,急速沈降のsyn-rift期→緩慢沈降のポストリフト期→構造反転期の変化をもって,ひとつの長周期テクトニックサイクルを形成している。堆積盆マスバランスにより,syn-rift期には深海システム,ポストリフト期は上方積層海底扇状地〜珪質岩システム,構造反転期には,砕屑物供給の増加と堆積空間減少に伴い,扇状地〜河川〜デルタ〜陸棚〜斜面〜トラフ充填タービダイトシステムがプログラデーションする。堆積盆の堆積空間と砕屑物供給のマスバランスにより,これらの堆積システムが深海傾向になるか非海成傾向になるか変化することになる。
<前縁堆積盆のテクトニックサイクルと堆積システム変化>前縁堆積盆については,北海道石狩天塩帯堆積盆群,メキシコチコンテペック堆積盆(山本ほか,2002; Takano et al., 2013; Takano, 2017; 加瀬ほか, 2018)を事例として検討を行った。前縁盆地では,スラストシートの活動が盛んになると,砕屑物供給が増えて海底扇状地システムが粗粒になるが,逆にスラスト帯が隆起してダムの役割を果たして沖合側foredeepへの砕屑物供給が止まる場合もある。
<文献> Dickinson, W.R., 1995, In Tectonics of Sedimentary Basins, Blackwell, 221-261; 加瀬善洋ほか, 2018, 地質雑, 124, 627-642; Moreno et al., 2016, The Geology of Japan. Geol. Soc. London; Takano, O., 2002, Sediment. Geol., 152, 79-97; Takano, O. and Waseda, A., 2003, Sediment. Geol., 160, 131-158; 高野 修ほか, 2009, 地学雑誌, 118, 776-792; 高野 修ほか, 2010, 石技誌, 75, 30-41; Takano, O. et al., 2013, In Mechanism of Sedimentary Basin Formation, InTech, 3-25.; Takano, O., 2017, In Dynamics of Arc Migration and Amalgamation, InTech, 1-24; 高野 修, 2023, 日本地質学会学術大会(京都)講演要旨T6-O-23; Takano et al., accepted, Basin Res.; 山本浩士ほか, 2002, 石技誌, 67, 529-537.
