Presentation Information
[T13-O-3]Stratigraphic levels of paleomagnetic polarity transition and widespread tephras in the lower Pleistocene Chikura Group and the lower Kazusa Group on the Boso Peninsula
*Takumi KONISHI1,2, Makoto OKADA1, Masayuki UTSUNOMIYA3 (1. Ibaraki University, 2. Yachiyo Engineering co., Ltd, 3. Geological Survey of Japan, AIST)
Keywords:
magnetostratigraphy,Kazusa Group,Chikura Group,Pleistocene,Tephra
房総半島中央部には,古第三紀以前の岩石や地層からなる嶺岡帯が前弧外縁隆起帯として位置し,その北側には前弧海盆で形成された下部~中部更新統の上総層群が,南側には海溝陸側斜面で形成された上部鮮新統~下部更新統の千倉層群がそれぞれ分布する.
千倉層群は堆積物の一部が伊豆弧の火山地帯から供給されており,磁性粒子が多量に含まれているため,信頼性の高い古地磁気記録の復元が可能である.また,上総層群は本州中央に位置し,南は九州,北は東北を噴出源とする広域テフラが多数分布している.そのため,房総半島に分布する地層群において高精度な古地磁気層序を構築することは,広域テフラの堆積年代制約にも寄与する.
これまで,千倉層群において約2.2 ~1.9 Maの連続的な古地磁気層序を構築し,テフラの化学分析を踏まえ房総半島中央部に分布する上総層群と対比した(Konishi and Okada, 2020; 小西ほか, 2022).その結果,広域テフラ2枚を含む計8枚のテフラが対比され,Feni正磁極亜帯にIW2(Kr1)テフラが位置することやHSCとHASがそれぞれOlduvai正磁極亜帯下部境界の直下と直上に位置することが明らかになった.他方,さらに若い年代(1.9~1.8 Ma)については上総層群内にKd39,Kd38などの代表的な広域テフラが存在する.三浦半島北部ではOlduvai正磁極亜帯上部境界よりも上位にKd39と対比されるYH02テフラが位置することが明らかにされているが(楠ほか, 2014),房総半島では新妻(1976)による古地磁気層序以降,同境界周辺の古地磁気変動記録とテフラ層との層位関係を詳しく検討した例はない.
本発表では、上総層群において新たに復元した古地磁気変動記録と現地露頭で確認したテフラとの層位的関係の検討結果について報告する.
上総層群黄和田層において,Olduvai正磁極亜帯上部境界周辺と考えられる区間を対象にテフラの記載および古地磁気記録の復元を行った結果,黄和田層下部のKd39よりも下位でOlduvai正磁極亜帯上部境界を検出した.
また,千倉層群畑層においてOlduvai正磁極亜帯中に分布しているテフラの屈折率測定と化学組成分析を行った結果,水野・納谷(2011)が報告しているOlduvai正磁極亜帯中の広域テフラとして認識されているKd44の火山ガラスの屈折率と主要・微量元素組成が類似しており,対比できる可能性があることが分かった.
今後は,上総層群におけるOlduvai正磁極亜帯上部境界中の詳細な古地磁気変動記録を復元し,千倉層群との比較を行っていく予定である.
引用文献
Konishi and Okada (2020), Prog. Earth Planet. Sci., 7, 35.
小西ほか (2022), 地質雑, 129, 469-487.
楠ほか (2014), 地質雑, 120, 53-70.
新妻 (1976), 地質雑, 82, 163–181.
水野・納谷 (2010), 沿岸域調査研報, 56, 121-132.
千倉層群は堆積物の一部が伊豆弧の火山地帯から供給されており,磁性粒子が多量に含まれているため,信頼性の高い古地磁気記録の復元が可能である.また,上総層群は本州中央に位置し,南は九州,北は東北を噴出源とする広域テフラが多数分布している.そのため,房総半島に分布する地層群において高精度な古地磁気層序を構築することは,広域テフラの堆積年代制約にも寄与する.
これまで,千倉層群において約2.2 ~1.9 Maの連続的な古地磁気層序を構築し,テフラの化学分析を踏まえ房総半島中央部に分布する上総層群と対比した(Konishi and Okada, 2020; 小西ほか, 2022).その結果,広域テフラ2枚を含む計8枚のテフラが対比され,Feni正磁極亜帯にIW2(Kr1)テフラが位置することやHSCとHASがそれぞれOlduvai正磁極亜帯下部境界の直下と直上に位置することが明らかになった.他方,さらに若い年代(1.9~1.8 Ma)については上総層群内にKd39,Kd38などの代表的な広域テフラが存在する.三浦半島北部ではOlduvai正磁極亜帯上部境界よりも上位にKd39と対比されるYH02テフラが位置することが明らかにされているが(楠ほか, 2014),房総半島では新妻(1976)による古地磁気層序以降,同境界周辺の古地磁気変動記録とテフラ層との層位関係を詳しく検討した例はない.
本発表では、上総層群において新たに復元した古地磁気変動記録と現地露頭で確認したテフラとの層位的関係の検討結果について報告する.
上総層群黄和田層において,Olduvai正磁極亜帯上部境界周辺と考えられる区間を対象にテフラの記載および古地磁気記録の復元を行った結果,黄和田層下部のKd39よりも下位でOlduvai正磁極亜帯上部境界を検出した.
また,千倉層群畑層においてOlduvai正磁極亜帯中に分布しているテフラの屈折率測定と化学組成分析を行った結果,水野・納谷(2011)が報告しているOlduvai正磁極亜帯中の広域テフラとして認識されているKd44の火山ガラスの屈折率と主要・微量元素組成が類似しており,対比できる可能性があることが分かった.
今後は,上総層群におけるOlduvai正磁極亜帯上部境界中の詳細な古地磁気変動記録を復元し,千倉層群との比較を行っていく予定である.
引用文献
Konishi and Okada (2020), Prog. Earth Planet. Sci., 7, 35.
小西ほか (2022), 地質雑, 129, 469-487.
楠ほか (2014), 地質雑, 120, 53-70.
新妻 (1976), 地質雑, 82, 163–181.
水野・納谷 (2010), 沿岸域調査研報, 56, 121-132.
