Presentation Information
[T13-O-5]The Gauss–Matuyama paleomagnetic boundary in the Horinouchi Formation of the Kakegawa Group in Shizuoka Prefecture, southwestern Japan
*Yuki Haneda1, Koretaka Nakatani1, Kiyohide Mizuno1 (1. Geological Survey of Japan, AIST)
Keywords:
Magnetostratigraphy,Tokai Distinct,Northern Hemisphere Glaciation,Plicene warm period
掛川層群は本邦を代表する海成下部鮮新〜下部更新統であり,鮮新世温暖期から北半球氷河作用強化期における東海地域の古気候記録を保持していることが期待される.掛川層群の堆積年代は,主に石灰質ナンノ化石や浮遊性有孔虫化石による微化石層序によって制約されており,豊富に挟在するテフラ層は本邦における同時代の陸成層へその年代尺度を拡張することを可能にする.しかし,微化石層序主体の年代層序は時間分解能が粗く,別地域の海成層や深海底堆積物との精密な対比は難しい.そのため,別の年代制約を用いた複合的な年代層序の構築が必要である.そこで発表者らは,東海地域の古気候情報取得に向けて掛川層群の年代層序の高精度化を進めている.本発表では,鮮新-更新世境界付近の層序区間における古地磁気層序について報告する.
静岡県菊川市高橋に露出する層厚約40 mの区間で調査を実施した.本調査区間は,泥勝ち砂岩泥岩互層からなり,中谷ほか(2024)によって,東海層群更新統最下部の鈴峰テフラに対比されるテフラ層が報告されている.本調査では34層準から定方位コア試料を1層準あたり3本採取し,古地磁気分析用試料とした.段階交流消磁では,ほとんどの試料でおおよそ10〜80 mTの消磁区間において直交投影面図上で原点に向かう成分が検出された.一方で,60 mT以上の段階交流消磁で,磁化ベクトルが原点から大きく逸れる挙動を示す試料も認められた.段階熱消磁では,約400〜600℃ないし300℃付近で自然残留磁化(NRM)が消磁される.そのため,試料には硫化鉄による化学残留磁化(CRM)がNRMの一部を担っていると考えられる.また,約400〜600℃で消磁される成分はチタン磁鉄鉱あるいはマグへマイトが担っている可能性がある.
本調査区間では鈴峰テフラから約24 m下位で,ガウス-松山境界に相当する正極性から逆極性への極性反転が認められた.鈴峰テフラとガウス-松山境界の層位差は,東海層群で約30 m(星ほか,2014),関東平野の上総層群で約10 m(納谷ほか,2021)である.本調査区間最下部の堆積年代は不明だが,これら先行研究における層位差と大きく矛盾はしない.そのため,CRMの獲得は堆積直後であると考えられる.今後は,本調査層準の岩石磁気特性を明らかにする必要がある.
引用:星ほか,2014,地質学雑誌,120, 313–323. 納谷ほか,2021,地学雑誌, 130, 331-352. 中谷ほか,2024,日本地質学会第131年学術大会講演要旨,T15-O-13.
静岡県菊川市高橋に露出する層厚約40 mの区間で調査を実施した.本調査区間は,泥勝ち砂岩泥岩互層からなり,中谷ほか(2024)によって,東海層群更新統最下部の鈴峰テフラに対比されるテフラ層が報告されている.本調査では34層準から定方位コア試料を1層準あたり3本採取し,古地磁気分析用試料とした.段階交流消磁では,ほとんどの試料でおおよそ10〜80 mTの消磁区間において直交投影面図上で原点に向かう成分が検出された.一方で,60 mT以上の段階交流消磁で,磁化ベクトルが原点から大きく逸れる挙動を示す試料も認められた.段階熱消磁では,約400〜600℃ないし300℃付近で自然残留磁化(NRM)が消磁される.そのため,試料には硫化鉄による化学残留磁化(CRM)がNRMの一部を担っていると考えられる.また,約400〜600℃で消磁される成分はチタン磁鉄鉱あるいはマグへマイトが担っている可能性がある.
本調査区間では鈴峰テフラから約24 m下位で,ガウス-松山境界に相当する正極性から逆極性への極性反転が認められた.鈴峰テフラとガウス-松山境界の層位差は,東海層群で約30 m(星ほか,2014),関東平野の上総層群で約10 m(納谷ほか,2021)である.本調査区間最下部の堆積年代は不明だが,これら先行研究における層位差と大きく矛盾はしない.そのため,CRMの獲得は堆積直後であると考えられる.今後は,本調査層準の岩石磁気特性を明らかにする必要がある.
引用:星ほか,2014,地質学雑誌,120, 313–323. 納谷ほか,2021,地学雑誌, 130, 331-352. 中谷ほか,2024,日本地質学会第131年学術大会講演要旨,T15-O-13.
