Presentation Information
[G-O-24]Basement rocks from the deep-sea area on the western slope of the Izu Peninsula, Japan
*Izumi SAKAMOTO1, Momoka NAGASHIMA1, Oho FURUHASHI1, Niina ARAI1, Satoshi WATANABE1, Soshi SHIBAO1, Yuka YOKOYAMA1, Mitsuki MORI2, Yusuke SATO3, Michiro TANAHASHI4 (1. Dept. of Marine Science and Technology, TOKAI Univ., 2. Graduate School of Science, CHIBA Univ., 3. Marine Works Japan, LTD , 4. Kaiyo Engineering Co., LTD)
Keywords:
Izu Peninsula,Basment Rocks
伊豆半島は,伊豆小笠原弧の北端に位置し,海底火山噴出物で特徴づけられる中期中新世の仁科層・湯ヶ島層群が基盤を構成し,その上部には後期中新世〜鮮新世の白浜層群,最上部の第四紀熱海層群から構成されている.最上部を構成する熱海層群を除き,下位を構成している地層は,海底での火山活動により形成されている.駿河湾内における伊豆半島西側斜面上では,過去に幾つかの調査がされているが,その多くは音波探査による解釈である.これらによると,伊豆半島西側斜面には,白浜層下部相当の音響基盤が広く分布し,その上部には白浜層相当の賀茂沖層群下部層,さらに賀茂沖層群上部層が薄く分布している(岡村ほか,1999). 2024年10月および2025年4月には,本学調査船望星丸(1700トン)にて,海洋理工学科海洋実習3が伊豆小笠原弧北部および駿河湾において実施された.この実習では,伊豆半島西側斜面より計4カ所(湾口付近,波勝崎沖,土肥沖,戸田-大瀬崎沖)にてワニ口式ドレッジャーを用いた採泥が行われた。採泥観測時には,海底カメラシステムを用いて海底ビデオ映像も同時に取得した. 伊豆半島湾口付近(BO24-12D04:水深2300-1600m)では大量の岩石(強変質〜弱変質の凝灰角礫岩,玄武岩〜流紋岩の多様な火山岩片)が採取された.坂本他(2025)は,この斜面を下位より玄武岩質火山砕屑岩,安山岩〜流紋岩質塊状火山砕屑岩,層理の発達した安山岩〜流紋岩質火山砕屑岩層,安山岩〜流紋岩質塊状火山砕屑岩に区分した.このうち最下位の玄武岩質火山砕屑岩類は,海底で噴出した水中火山岩類であり,大量の緑泥石化した変質ガラスと不規則な形状を呈した同質火山岩片からなる無層理な火砕岩であった.またその上位に位置する安山岩〜流紋岩質塊状火山砕屑岩は,最大数10cmの安山岩質角礫岩と大量の1cm以下の淡黄色〜白色の基質部から構成されている.この基質部は,ほぼ同質から流紋岩質の火山砕屑岩からなり,全体的に流理は発達しない.流紋岩質火山砕屑岩は,数cmサイズの角礫質軽石と,1cm以下の白色軽石が,層理を呈し形成されていた.また,量は少ない物の,玄武岩質であるが,多様性に富んだ基質角礫(酸化礫:陸上噴出)を含んだ火砕岩も採取されている. 伊豆半島波勝崎沖付近(BO25-01D01:水深1600-1200m)からは,おもに安山岩質の角礫岩が採取(220kg)されている.岩質は両輝石安山岩質で,水中噴出を示す未発達状石基を観察する事が出来た.産状は表層堆積物が巻き上がり懸濁して,海底を視認することが出来なかった. 伊豆半島土肥沖(BO25-01D02:水深1470-1240m)では,未固結の泥に混じって角礫質の岩石(37kg)および灰白色の凝灰質シルト岩片(少量)が採取された.未固結の泥質堆積物は,黒色で嫌気的な条件で形成されたシルトである.同時にシロウリ貝やアブラキヌタレ貝が数固体採取されている.角礫岩は,黒色の玄武岩質であり,岩片は最大で15-20cmであり,石基中の岩片は数mm-数cmサイズで変化に富んでいた.石基と火山岩片は,高発泡の両輝石玄武岩で岩質的に同質であり,ガラス質であり固結度が弱く(ガサガサ),水底か陸上噴出かは不明である. 伊豆半島戸田-大瀬崎沖(BO25-01D04:水深1000-800m)では,灰白色の凝灰質砂〜シルト岩およびその岩片が採取された.これらの凝灰質堆積岩には,数mm-1cmの二枚貝の化石,円柱状生痕(内壁にはハイ跡)や,炭化木片が含まれていた.現在化石や炭化木片より,年代測定を試みている. 伊豆半島西側沖深海部からは,1)湾口付近では玄武岩〜流紋岩質火山砕屑岩および砕屑岩層が分布し,2)波勝崎沖では,安山岩質の火山岩が採取されており,岡村他(1990)の音響基盤がこれに相当する.3)土肥沖の玄武岩質の火山砕屑岩は,湾口の変質玄武岩とは岩相(変質・固結度)が異なる事から別の活動が推定され,4)北端の戸田〜大瀬崎沖での凝灰質シルト岩の分布は,岡村他(1990) の賀茂沖層群上部層に相当する.しかし,各採泥サイトにおける活動の変遷が,南北間における固有の活動変化を示すものか?時代を示しているのか?または活動環境(水深)を示すものかは現在は不明である.岡村他(1999)20万分の1海底地質図「駿河湾」.海底地質図,No.52,地質調査所.坂本他(2025)伊豆半島西側斜面深海部域から採取された水中火山岩類の意義,JPGU SVC36-09.
