Presentation Information
[T1-P-21]Growth mechanism of coalesced grains of garnet in the Yanai area recognized by Electron Backscatter Diffraction
*Risa HAYASHI1, Takeshi IKEDA1, Yoshihiro Nakamura 2, Yumiko Harigane2 (1. Kyushu University, 2. National Institute of Advanced Industrial Science and Technology)
Keywords:
Garnet,EBSD,Coalescence,Crystal size distribution,Ryoke metamorphic complex
変成鉱物は温度圧力の変化に伴い成長し、その微細構造や化学組成は成長過程を反映する。ザクロ石は広い温度圧力条件で成長するが、光学的等方体であるため顕微鏡で得られる微細構造の情報は限られる。本研究では、電子線後方散乱回折法(EBSD)による結晶方位解析を行ない、ザクロ石の成長過程での合体を認識した。顕微鏡で得られる粒径分布(GSD)を結晶サイズ分布(CSD)に変換し、分布を形成する要因を明らかにした。
対象地域は領家変成岩類が分布する山口県柳井地域で、最高変成度のザクロ石-菫青石帯の泥質片麻岩中のザクロ石を対象とした。4試料のザクロ石のGSDは粗粒側に尾を引く単一のピークをもち、対数正規分布に類似する形状を示した。このうちの1試料のEBSDによる結晶方位解析では、551粒子の約6%にあたる34粒子が多結晶粒子であることがわかった。多結晶粒子の大部分は2つの結晶が合体した粒子であり、粒径の増大に伴い多結晶粒子の割合が増加する。多結晶粒子を単結晶に分離して作成したCSDは、GSDと同様に粗粒側に尾を引く形状であることが分かった。このことは,合体過程が対数正規分布となる原因ではないことを意味する。
多結晶粒子を構成する2つの結晶のサイズ比(細粒粒径/粗粒粒径)は合体粒子サイズと負の相関をもつ。このことは、相対的に細粒な粒子はほぼ同じサイズの結晶から構成されているのに対し、粗粒粒子は異なるサイズの結晶で構成されていることを意味する。この多結晶粒子における結晶間のサイズ関係は、合体前に互いに隣接していた結晶間のサイズ関係を保持していると考えられる。すなわち、細粒結晶は同様のサイズの結晶と隣接し、粗粒結晶は細粒結晶に隣接していたと言える。
このような2結晶間の規則性は、単位体積当たりの界面エネルギーによって説明できる。隣接する2結晶を合わせた単位体積あたりの界面エネルギーは、2結晶の粒径差が小さくなる(サイズ比が大きくなる)ほど大きくなる。サイズ比の異なる2つのペアが存在するとき、結晶サイズ比が小さなペアに選択的に成分を供給することによって単位体積当たりの界面エネルギーを低減させることができる。つまり、似たサイズの2結晶にはザクロ石成分があまり供給されない一方で、異なるサイズの2結晶には多くの成分が供給されたと考えられる。
さらに、ペアに供給されたザクロ石成分は2結晶にそれぞれ分配される。似たサイズの2結晶にザクロ石成分が供給される場合、単位体積当たりの界面エネルギーに大きな差がないため、2結晶とも同様の成長速度を保つと考えられる。一方、異なるサイズのペアにザクロ石成分が供給される場合、粗粒結晶の方が界面エネルギーが低いため成長しやすくなる。
以上の考察から、単位体積当たりの界面エネルギーの大小が成長速度を支配していたと考えられる。すなわち粗粒結晶ほど成長速度が大きくなる(LPE; Law of Proportionate Effect)効果が効いていたことを示唆する。LPEの過程では対数正規分布のCSDが実現するので、観測される粗粒側に尾を引くCSDも説明できる。
対象地域は領家変成岩類が分布する山口県柳井地域で、最高変成度のザクロ石-菫青石帯の泥質片麻岩中のザクロ石を対象とした。4試料のザクロ石のGSDは粗粒側に尾を引く単一のピークをもち、対数正規分布に類似する形状を示した。このうちの1試料のEBSDによる結晶方位解析では、551粒子の約6%にあたる34粒子が多結晶粒子であることがわかった。多結晶粒子の大部分は2つの結晶が合体した粒子であり、粒径の増大に伴い多結晶粒子の割合が増加する。多結晶粒子を単結晶に分離して作成したCSDは、GSDと同様に粗粒側に尾を引く形状であることが分かった。このことは,合体過程が対数正規分布となる原因ではないことを意味する。
多結晶粒子を構成する2つの結晶のサイズ比(細粒粒径/粗粒粒径)は合体粒子サイズと負の相関をもつ。このことは、相対的に細粒な粒子はほぼ同じサイズの結晶から構成されているのに対し、粗粒粒子は異なるサイズの結晶で構成されていることを意味する。この多結晶粒子における結晶間のサイズ関係は、合体前に互いに隣接していた結晶間のサイズ関係を保持していると考えられる。すなわち、細粒結晶は同様のサイズの結晶と隣接し、粗粒結晶は細粒結晶に隣接していたと言える。
このような2結晶間の規則性は、単位体積当たりの界面エネルギーによって説明できる。隣接する2結晶を合わせた単位体積あたりの界面エネルギーは、2結晶の粒径差が小さくなる(サイズ比が大きくなる)ほど大きくなる。サイズ比の異なる2つのペアが存在するとき、結晶サイズ比が小さなペアに選択的に成分を供給することによって単位体積当たりの界面エネルギーを低減させることができる。つまり、似たサイズの2結晶にはザクロ石成分があまり供給されない一方で、異なるサイズの2結晶には多くの成分が供給されたと考えられる。
さらに、ペアに供給されたザクロ石成分は2結晶にそれぞれ分配される。似たサイズの2結晶にザクロ石成分が供給される場合、単位体積当たりの界面エネルギーに大きな差がないため、2結晶とも同様の成長速度を保つと考えられる。一方、異なるサイズのペアにザクロ石成分が供給される場合、粗粒結晶の方が界面エネルギーが低いため成長しやすくなる。
以上の考察から、単位体積当たりの界面エネルギーの大小が成長速度を支配していたと考えられる。すなわち粗粒結晶ほど成長速度が大きくなる(LPE; Law of Proportionate Effect)効果が効いていたことを示唆する。LPEの過程では対数正規分布のCSDが実現するので、観測される粗粒側に尾を引くCSDも説明できる。
