Presentation Information
[T8-P-3]Attempt to develop a method for estimating the activity history of Quaternary volcanoes through topographic analysis
*Nariaki Nishiyama1, Yuri Kato1, Makoto Kawamura1, Koji Umeda2 (1. Tono Geoscience Center, Japan Atomic Energy Agency, 2. Hirosaki University)
Keywords:
Quaternary volcano,Topographic analysis,GIS,Eruptive volume,Center of volcanic activity
地層処分システムに著しい影響を与える現象の一つとしてマグマの処分場への貫入や地表への噴出による物理的隔離機能の喪失が挙げられる。このことから第四紀火山の活動中心から半径15 kmの範囲はサイト選定において好ましくない範囲とされている(資源エネルギー庁, 2017 [1] ; 原子力規制委員会, 2022 [2])。しかし、第四紀に活動したとされる火山の中には火山の活動中心が不確かなものなど、火山活動の時期や変遷が明らかになっていない火山も含まれており、個別の火山に対する客観的な指標による精査が必要となる。
火山の山体の地形は、火山活動によるマグマの貫入範囲を概ね反映していると考えられている(Nakamura, 1977 [3] ; 高橋, 1994 [4] など)。西山ほか(2023)[5] は、この特徴を利用したGISを用いた地形解析により、火山の山体下に分布する岩脈の方位トレンドや長期的な火道位置の安定性を評価する手法を構築している。一方で、火山の活動中心や火山活動の規模に関する議論はされておらず、また地形解析が適用可能な条件を提示するまでには至っていない。
本研究では、火山の噴出量の規模を火山の山体の体積、火山の活動中心を山体の重心であるとそれぞれ仮定して、QGIS上で解析手法の構築を試みた。山体の体積の算出には、10 m DEMのデータの他に、火山岩の分布域を示した地質分布のポリゴンデータを用いて火山の山体下の基盤上面を仮定したDEM(以降、山体底面のDEM)を作成し、双方のDEMデータを使用して山体の体積を算出した。山体底面のDEMは、火山岩分布域の境界部分の標高を10 m DEMから取得し、火山岩分布域内については補間処理により標高分布を算出することで、DEMを作成した。10 m DEMおよび山体底面のDEMのデータから体積の算出をする際には、QGISのツールを用いて双方のDEMの差分を計算することにより導き出すことが可能である。山体の重心は、山体を囲う等高線の領域(等高線ポリゴン)の重心データに基づき算出した。等高線ポリゴンの重心の算出は、西山ほか(2023)[5] において既に構築されている手法を用いて算出することとした。なお、等高線ポリゴンの重心は、どのような形状の等高線についても算出することが可能であるため、火山の活動中心を反映すると考えられる重心を抽出する必要がある。火山を対象とした地形解析を行う場合、活動当時の地形が残存していることが重要となるため、削剥などにより活動当時の地形が残っていないものを対象に解析を行った場合、その解析結果の信頼度は低いと考えられる。このような考えの基、本検討では活動当時の地形の残存度合いを表す指標の算出を試み、この指標を基にした信頼度と合わせて等高線の重心データを抽出することにより、火山の活動中心を導出する手法の構築を試みる。
本発表では、実際の第四紀火山を対象に以上で述べた手法による地形解析を実施し、火山の山体地形から読み取ることが可能な火山活動に関する情報を抽出、整理を行った結果を報告する。また、本地形解析手法を用いる際の適用限界についても議論する。
【参考文献】[1] 資源エネルギー庁 (2017). 科学的特性マップ. [2] 原子力規制委員会 (2022). 地層処分において安全確保上少なくとも考慮されるべき事項. [3] Nakamura (1977). Journal of Volcanology and Geothermal Research, 2, 1-16. [4] 高橋 (1994). 火山, 39, 191-206. [5] 西山ほか (2023). 応用地質, 64(3), 98-111.
【謝辞】本報告は経済産業省資源エネルギー庁委託事業「令和7年度高レベル放射性廃棄物等の地層処分に関する技術開発事業(JPJ007597)(地質環境長期安定性総合評価技術開発)」の成果の一部を使用している。
火山の山体の地形は、火山活動によるマグマの貫入範囲を概ね反映していると考えられている(Nakamura, 1977 [3] ; 高橋, 1994 [4] など)。西山ほか(2023)[5] は、この特徴を利用したGISを用いた地形解析により、火山の山体下に分布する岩脈の方位トレンドや長期的な火道位置の安定性を評価する手法を構築している。一方で、火山の活動中心や火山活動の規模に関する議論はされておらず、また地形解析が適用可能な条件を提示するまでには至っていない。
本研究では、火山の噴出量の規模を火山の山体の体積、火山の活動中心を山体の重心であるとそれぞれ仮定して、QGIS上で解析手法の構築を試みた。山体の体積の算出には、10 m DEMのデータの他に、火山岩の分布域を示した地質分布のポリゴンデータを用いて火山の山体下の基盤上面を仮定したDEM(以降、山体底面のDEM)を作成し、双方のDEMデータを使用して山体の体積を算出した。山体底面のDEMは、火山岩分布域の境界部分の標高を10 m DEMから取得し、火山岩分布域内については補間処理により標高分布を算出することで、DEMを作成した。10 m DEMおよび山体底面のDEMのデータから体積の算出をする際には、QGISのツールを用いて双方のDEMの差分を計算することにより導き出すことが可能である。山体の重心は、山体を囲う等高線の領域(等高線ポリゴン)の重心データに基づき算出した。等高線ポリゴンの重心の算出は、西山ほか(2023)[5] において既に構築されている手法を用いて算出することとした。なお、等高線ポリゴンの重心は、どのような形状の等高線についても算出することが可能であるため、火山の活動中心を反映すると考えられる重心を抽出する必要がある。火山を対象とした地形解析を行う場合、活動当時の地形が残存していることが重要となるため、削剥などにより活動当時の地形が残っていないものを対象に解析を行った場合、その解析結果の信頼度は低いと考えられる。このような考えの基、本検討では活動当時の地形の残存度合いを表す指標の算出を試み、この指標を基にした信頼度と合わせて等高線の重心データを抽出することにより、火山の活動中心を導出する手法の構築を試みる。
本発表では、実際の第四紀火山を対象に以上で述べた手法による地形解析を実施し、火山の山体地形から読み取ることが可能な火山活動に関する情報を抽出、整理を行った結果を報告する。また、本地形解析手法を用いる際の適用限界についても議論する。
【参考文献】[1] 資源エネルギー庁 (2017). 科学的特性マップ. [2] 原子力規制委員会 (2022). 地層処分において安全確保上少なくとも考慮されるべき事項. [3] Nakamura (1977). Journal of Volcanology and Geothermal Research, 2, 1-16. [4] 高橋 (1994). 火山, 39, 191-206. [5] 西山ほか (2023). 応用地質, 64(3), 98-111.
【謝辞】本報告は経済産業省資源エネルギー庁委託事業「令和7年度高レベル放射性廃棄物等の地層処分に関する技術開発事業(JPJ007597)(地質環境長期安定性総合評価技術開発)」の成果の一部を使用している。
