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[T11-P-3]WebGL-based Visualization Tool for Shallow Subsurface Three-dimensional Geological Models

*Susumu NONOGAKI1, Sakurako YABUTA1, Tsutomu NAKAZAWA1 (1. Geological Survey of Japan, AIST)
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Keywords:

Visualization,Three-dimensional model,WebGL

 産業技術総合研究所地質調査総合センター(以下,GSJ)では,経済産業省による知的基盤整備の一環として,自治体と協力しながら”都市域の3次元地質地盤図”の整備に取り組んでいる(野々垣・中澤,2025).この取り組みでは,学術研究や公共工事で作成されたボーリングデータを基に,都市域の地下数十メートルにおける地層の広がりを表現するサーフェスモデルや物性分布を表現するボクセルモデルなどの3次元地質地盤モデルを構築している.また,得られた3次元地質地盤モデルが表現する地下情報を,誰もが容易にWeb上で確認できるようにするための可視化ツールの開発を進めている(野々垣・中澤,2022, 2023).本発表では,現在開発中の3次元地質地盤モデルの可視化ツールのシステム構成や機能について紹介する.
3次元地質地盤モデルの可視化ツールは,Webブラウザに標準装備されるWebGLを利用して地層や物性の3次元分布を描画するWebアプリケーションである.開発言語にはJavaScriptを,WebGLプログラミングには3次元CGライブラリのひとつであるthree.jsを用いている.three.jsを用いる利点は,GPUによる3次元オブジェクトの高速描画が可能な点にある.この利点により,データ容量が大きい3次元地質地盤モデルでも良好な動作速度でWebブラウザ上に表示することが可能となっている.なお,現時点ではサーフェスモデルとボクセルモデルの可視化ツールは個別のアプリケーションとして管理されている.
可視化ツールの各機能は,操作画面に表示されるアイコン群からマウス操作のみで利用できる.サーフェスモデルの可視化では,地表面,地層境界面,ボーリングデータの表示・非表示の切り替えや,岩相またはN値に基づくボーリングデータの配色などが可能である.ボクセルモデルの可視化では,特定の属性値をもつセルの絞り込み表示や,任意位置における水平断面・鉛直断面の表示などが可能である.また,両モデルの可視化ツールに共通する機能として,モデルの回転・拡大や水平鉛直比(高さ倍率)の調整,光源の調整,Web地図の重畳表示,表示オブジェクトの属性取得などの機能がある.
上記のような機能を備えた3次元地質地盤モデルの可視化ツールは,都市域の地下浅部における地層の広がりや物性分布をさまざまなスタイルで確認することを可能とし,地下の地質構造に関する利用者の理解の向上に貢献すると考える.また,Web地図の重畳表示機能のような他機関から公開されているGISデータを重畳する機能は,3次元地質地盤モデルの視認性を向上させるだけでなく,分野を超えたデータ連携の強化にもつながると考える.その一方,現在のGSJウェブサイト「都市域の地質地盤図」 [URL1]では,Web地図の重畳表示機能を含むいくつかの機能を除いたサーフェスモデルの可視化ツールを利用して,これまでに整備した3次元地質地盤モデルを公開している.今後は,全機能を備えた可視化ツールによる3次元地質地盤モデルの公開準備を進めるとともに,どのようなGISデータとの連携が3次元地質地盤モデルの利活用促進に有効であるかを見極めながら,可視化ツールの改良を継続していく予定である.

文献
野々垣 進・中澤 努(2022)第33回日本情報地質学会講演会 講演要旨集,41–42.
野々垣 進・中澤 努(2023)第34回日本情報地質学会講演会 講演要旨集,39–40.
野々垣 進・中澤 努(2025)応用地質,65(6),259–266.
[URL1] 産総研地質調査総合センター,都市域の地質地盤図,https://gbank.gsj.jp/urbangeol/.