Presentation Information
[T5-O-2]Radiolarian biostratigraphy at IODP Expedition 405 JTRACK drilled sites: about the frontal prism and the subducting oceanic plate near the Japan Trench.
*Minori HAGINO1, Masao IWAI2, Marianne CONIN3, Patrick FULTON4, Jamie KIRKPATRICK5, Shuichi KODAIRA6, Christine REGALLA7, Kohtaro UJIIE8, Nobu EGUCHI6, Lena MAEDA6, Natsumi OKUTSU6, Sean TOCZKO6, IODP Exp.405 Science Party (1. Graduate School of Science and Engineering, Yamagata University, 2. KCC/MaCRI, Kochi University, 3. University of Lorraine, 4. Cornell University, 5. University of Nevada, Reno, 6. JAMSTEC, 7. Northern Arizona University, 8. University of Tsukuba)
Keywords:
IODP,2011 Tohoku earthquake,Radiolaria,biostratigraphy,Japan Trench
国際深海科学掘削計画(IODP)第405次航海(JTRACK)は、日本海溝巨大地震および津波発生過程の時空間変化の追跡を目的とし,2011年3月に発生した東北地方太平洋沖地震の震源域周辺を掘削する航海であり,JAMSTECの地球深部探査船「ちきゅう」を用いて,2024年9月から12月にかけて,宮城県沖の日本海溝周辺で実施された.JTRACKでは,2012年に実施されたIODP 第343次航海(JFAST)の掘削地点(C0019地点)と,日本海溝に沈み込む太平洋プレート側(C0026地点)の2地点で掘削を行った(Kodaira et al., 2023).筆頭著者は航海後半の約2ヶ月間乗船し,船上で放散虫化石分析にあたるとともに,航海前半に採取された試料については下船後に分析したので,その結果について報告する.なお,これらの結果は珪藻化石分析結果とおおむね整合的である.
JFASTで得られた試料の微化石分析によって,プレート境界断層直上に厚さ120–150 mほどの鮮新世―更新世の堆積物が存在すること,プレート境界断層下部に,後期中新世の堆積物が年代の逆転を伴って存在することが明らかになっている(Iwai et al., 2025).しかし,JFASTでは前縁プリズム上部の大部分は掘り飛ばされてしまったため,詳細な構造については未解明であった.JTRACKでは,C0019地点の複数孔で掘削を行い,5つの孔(J孔,K孔,L孔,M孔,P孔)から,ほぼ連続的な試料の回収に成功した.
C0019地点の堆積物は,後期中新世,鮮新世,更新世の年代を示す放散虫化石を含んでいることが明らかになった.とくに,L孔およびM孔(0–107.485 mbsf)では,そのほとんどが第四系の堆積物からなる.放散虫化石層序から,~210 mbsf,~610 mbsf,~826 mbsfに年代ギャップが認定された.J孔最下部(~829 mbsf)およびK孔最下部(~873 mbsf)はともにチャートからなり,白亜紀と考えられる放散虫が含まれていた.またCCD以深にもかかわらず,M孔から採取された試料の一部(~43.1 mbsf,~81.8 mbsf)からは有孔虫化石が産出した.
C0026地点では,放散虫化石層序から,半遠洋性泥質堆積物が前期中新世から第四紀にかけて連続的に堆積したことが示唆された.B孔のコア20Kから25K(~244 mbsfから~266.2 mbsf)にかけての約20 mほどの区間では年代指標となる放散虫化石が全く産出せず,年代制約に至らなかった.B孔のコア26K(~267 mbsf)以深の遠洋性粘土の年代は放散虫化石から,白亜紀またはそれ以前であることが示唆された.また,B孔のコア20K以深については,豊富に産出するイクチオリスを用いることで,年代決定できる可能性がある.
文献:
Iwai, M., et al., 2025, Island Arc. doi:10.1111/iar.70009
Kodaira, S., et al., 2023, International Ocean Discovery Program. doi:10.14379/iodp.sp.405.2023
JFASTで得られた試料の微化石分析によって,プレート境界断層直上に厚さ120–150 mほどの鮮新世―更新世の堆積物が存在すること,プレート境界断層下部に,後期中新世の堆積物が年代の逆転を伴って存在することが明らかになっている(Iwai et al., 2025).しかし,JFASTでは前縁プリズム上部の大部分は掘り飛ばされてしまったため,詳細な構造については未解明であった.JTRACKでは,C0019地点の複数孔で掘削を行い,5つの孔(J孔,K孔,L孔,M孔,P孔)から,ほぼ連続的な試料の回収に成功した.
C0019地点の堆積物は,後期中新世,鮮新世,更新世の年代を示す放散虫化石を含んでいることが明らかになった.とくに,L孔およびM孔(0–107.485 mbsf)では,そのほとんどが第四系の堆積物からなる.放散虫化石層序から,~210 mbsf,~610 mbsf,~826 mbsfに年代ギャップが認定された.J孔最下部(~829 mbsf)およびK孔最下部(~873 mbsf)はともにチャートからなり,白亜紀と考えられる放散虫が含まれていた.またCCD以深にもかかわらず,M孔から採取された試料の一部(~43.1 mbsf,~81.8 mbsf)からは有孔虫化石が産出した.
C0026地点では,放散虫化石層序から,半遠洋性泥質堆積物が前期中新世から第四紀にかけて連続的に堆積したことが示唆された.B孔のコア20Kから25K(~244 mbsfから~266.2 mbsf)にかけての約20 mほどの区間では年代指標となる放散虫化石が全く産出せず,年代制約に至らなかった.B孔のコア26K(~267 mbsf)以深の遠洋性粘土の年代は放散虫化石から,白亜紀またはそれ以前であることが示唆された.また,B孔のコア20K以深については,豊富に産出するイクチオリスを用いることで,年代決定できる可能性がある.
文献:
Iwai, M., et al., 2025, Island Arc. doi:10.1111/iar.70009
Kodaira, S., et al., 2023, International Ocean Discovery Program. doi:10.14379/iodp.sp.405.2023
