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[T5-O-3]Diatom biostratigraphy at IODP Exp. 405JTRACK drilled sites: implicaiton to the frontal prism structure near the Japan Trench.

*Masao Iwai1, Minori Hagino2, IODP Exp.405 Science Party3 (1. MaCRI, Kochi University, 2. Yamagata University, 3. https://www.jamstec.go.jp/chikyu/e/exp405/crew_all.html)
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Keywords:

Japan Trench,2011 Tohoku earthquake,diatom,biostratigraphy,Site C0019,Site C0026

 国際深海科学掘削計画(IODP)Exp.405JTRACK航海(2024年9月〜12月)は、日本海溝巨大地震・津波発生過程の時空間変化の追跡を目的に、2011年東北沖地震(Mw 9.0、2011年3月11日)プレート境界末端部付近Site C0019ならびに近傍アウターライズSite C0026の2地点で掘削が実施された(Kodaiara et al., 2023)。筆頭著者は前半2ヶ月は乗船し、後半2ヶ月は陸上で珪藻化石分析にあたったので、その結果について報告する。
地震発生直後に実施されたIODP Exp.343 Hole C0019Eで得られた試料の微化石分析では、プレート境界断層直上に、130ー150mほどの鮮新世ー更新世堆積物が存在すること、プレート境界断層下部には、後期中新世の堆積物が逆転を繰り返し存在することが明らかにされた(Iwai et al., 2025, Island Arc)が、先端プリズムの全容についてはコア回収率が悪く未解明であった。Exp.405後悔では複数孔の掘削により、ほぼ連続した堆積物が回収され、その全容が明らかになった。すなわち、先端プリズムC0019の堆積物は更新世、鮮新世、および後期中新世の年代を示す珪藻が含まれるユニットから形成され、珪藻化石層序から、〜210 mbsf、〜610 mbsf、に主要逆断層を、〜826 mbsf にプレート境界断層帯が認定された。プリズム直上の鮮新世ー更新世堆積物 (610-826mbsf)はHole 343-COO19Eと厚さこそ多少異なるものの、再確認された。Hole 405-C0019Mの第四系にはところどころ石灰室微化石が検出され、炭酸塩補償深度(CCD)以浅より堆積物が供給され、溶解することなく埋没したことが示唆された。またHole 405-C0019M, Jで掘削された堆積物は固まり状のブロックと変形が激しいマトリックスや高角度の層裏面等が確認されており、さまざまなスケールの地滑り堆積物(MTD)や褶曲、小スラスト断層によるプリズム堆積物の厚層化などがくり返されていたことが推察された。プレート境界断層の下部は、Hole 405-C0019Jでは直接白亜紀のチャートに、C0019Kでは30mを超える遠洋堆積物が残っておろ、わずか数10mの区間で様相が異なることから、沈み込んだ地塁の微細地形の凹凸が影響していたことが示唆された。
一方インプットサイトのSite 405-C0026では、珪藻化石層序から、更新世と鮮新世の平均堆積速度は 33 m/m.y.であったのに対し、上部中新世の平均堆積速度は 5-15 m/m.y.と低く、下部中新世の堆積速度は 2 m/m.y.未満であった。C0026B-20K 以深の遠洋性褐色粘土から、珪藻が検出されることはなかった。

References:
Kodaira et al., 2023, IODP Exp.405 Scientific Prospectus. http://publications.iodp.org/scientific_prospectus/405/;
Iwai et al., 2025. Island Arc. https://doi.org/10.1111/iar.70009