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[T4-O-9]Formation Processes and Redox Evolution of Calciocarbonatite: Insights from the Panda Hill Carbonatite Complex, Tanzania

*Honoka Umemiya1, Tatsuki Tsujimori1, Nelson Boniface2 (1. Department of Earth Science, Graduate School of Science, Tohoku University, 2. University of Dar es Salaam)
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Keywords:

carbonatite,niobium deposits,redox state

 カーボナタイトは、炭酸塩鉱物を主成分とする稀有な火成岩であり、しばしばニオブ(Nb)や希土類元素(REEs)に富むことから、経済的に重要な鉱床を構成する岩石として注目されている(Yaxley et al., 2022, Ann. Rev. Earth Planet. Sci.)。これらの元素の濃集機構を解明することは、資源探査や選鉱・精錬技術の高度化に貢献するだけでなく、マントル起源の揮発性成分の挙動や地球内部における酸化還元状態の変遷を復元する上でも、重要な手がかりを提供する。本研究では、タンザニア西部パンダヒル産の粗粒な方解石を主成分とするカーボナタイト(約116Maに貫入)を対象とした。本産地のパイロクロアは放射性元素をほとんど含まないことが先行研究により明らかにされており、環境リスクの低いニオブ鉱床としてのポテンシャルが期待されている。
我々は、本産地を例に、カルシオカーボナタイトの形成プロセスおよびそれに伴う酸化還元状態の変遷を読み解くことを目的として、鉱物学的検討を行ってきた。特に、記載岩石学的手法を駆使し、構成鉱物の晶出順序および酸素フガシティ(fO₂)の時間的変化に着目することで、ニオブ鉱床形成に与える影響の評価を試みた。パンダヒル産カーボナタイトは、主に方解石から構成され、少量のドロマイト、アンケライト、石英、磁鉄鉱、黄鉄鉱、さらにニオブ酸化物鉱物であるパイロクロアを含む。貫入後に変成作用による再結晶は受けていない。方解石およびアパタイトには複数の晶出世代が存在し、それぞれの結晶内部組織および化学組成の変化から晶出時期を判別することができる。また、黄鉄鉱、アンケライト、シデライト、マグネタイトなどの産状や組織、共生関係に基づき、マグマティックな岩石形成過程における酸化還元環境の変化を読み解くことができる。特に、黄鉄鉱に伴って鉄を含む炭酸塩鉱物(アンケライトやシデライト)が形成され、それらの内部に磁鉄鉱が析出している組織からは、より酸化的な状態への変化が示唆される。本発表では、カルシオカーボナタイトにおける酸素フガシティの変動とニオブ鉱床形成との関連性について議論する。