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[T4-O-11]Precise determination of stress at high confining pressures using solid-medium apparatus: Application to deformation experiments of marble

*Takaya NAGAI1, Ichiko SHIMIZU1 (1. Kyoto University)
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Keywords:

rheology,high-PT deformation experiments,solid-medium apparatus,differential stress,marble

 地殻深部やマントルにおける岩石鉱物のレオロジー特性を明らかにするために、ガス圧式や固体圧式の変形試験機が高温高圧変形実験で広く使用されてきた。ガス圧試験機では常用で封圧が 300 MPa 程度に制限されるのに対し、 固体圧媒体を用いるGriggs 型の変形試験機では、1 GPa 超の封圧を発生できる利点がある一方、固体圧媒体との間に生じる摩擦の影響で応力測定精度が悪いことが長年の課題であった。そこで内部摩擦の低減のため、固体塩 (NaCl) をもちいたアセンブリのほか、高温で液体となる熔融塩セルも開発されてきた。Holyoke and Kronenberg (2010) はこれらの圧媒体をもちいて得られた実験データの精度を評価するために、高純度の金属(Ni, Mo)等を試料のかわりに用いて、封圧300 MPaにおいて校正試験を行い、応力精度の良いガス圧試験機で得られた結果と直接比較した。その結果、 熔融塩セルを用いていても差応力の過大評価が数100 MPaに及ぶことが明らかとなり、補正式が提案された。しかし、Griggs 試験機を用いた、より高封圧(〜1.5 GPa)での校正実験はわずかしか行われておらず (Kido and Muto, 2016)、石英や大理石(Gleason and Tullis, 1993) の実験に対しても同じ補正式が適用可能かどうかはよく明らかにされていなかった。 一方、熊澤型の固体圧変形試験機は、上下二対の荷重計で応力を測定し、軸上下の平均として内部摩擦をリアルタイムに補正する機構をそなえている(Shimizu and Michibayashi, 2022)。本研究では京都大学に設置されている改良型熊澤型試験機を用いて、内部摩擦の生じる内側スリーブに使用する圧媒体物質を様々に替えて校正試験を行った。実験は Holyoke and Kronenberg (2010) に従って、製造元も同じ高純度NiやMoを試料に使用し、温度600℃ または700℃、封圧300 MPa、歪速度1.6×10-4 sec-1で行った。実験の結果、タルクやNaCl ではガス圧試験機で報告されている差応力値より大きく、内部摩擦の影響が除去できていなかったが、Griggs 試験機と比べるとその差は大きく低減されていた、また、低軟化点ガラス (軟化点415℃) を用いた「液体ガラスセル」の実験で600℃、700℃ともに、ガス圧試験機とほぼ同じ降伏応力を得ることができた。発表では、Moや大理石を用いた、より高圧 (〜1.5 GPa)での変形実験の結果についても報告する。

参考文献
Gleason, G. C. and Tulis, J. (1993), Geophysical Research Letters, 20, 2111-2114.
Holyoke, C. W. and Kronenberg, A. K. (2010), Tectonophysics, 494, 17–31.
Kido, M. and Muto, J. and Nagahama, H. (2016), Tectonophysics, 672-673, 170-176.
Shimizu, I. and Michibayashi, K. (2022), Minerals, 12, 329.