Presentation Information
[G-O-33]Importance of post-event rapid-response surveys for understanding past earthquakes in marine geological records
*Ken IKEHARA1,2,3, Takuya SAGAWA4, Robert G. JENKINS4 (1. National Institute of Advanced Industrial Science and Technology, 2. National Museum of Nature and Science, Tokyo, 3. Shizuoka University, 4. Kanazawa University)
Keywords:
earthquake,event deposit,preservation potential,sedimentary process,paleoseismology
海域を震源とする大地震の際には、しばしばイベント堆積物と呼ばれる通常時とは異なる粒度・粒子組成、堆積構造を持つ堆積物が海底に形成され、その一部は地層として保存されるので、過去の大地震発生の証拠として使われる。このため近年では、大地震後に海底堆積物として残された地震の痕跡を調べるための調査航海が行われることも多い。このような海底堆積物の調査は緊急に行われるがゆえに、さまざまな制約も多く、計画立った組織的かつ効率的な調査ができない場合もある。しかし、イベント直後の調査は、イベント発生から時間が経つにつれて消えていく小さな痕跡を捉えられる数少ないチャンスであり、重要であるのに間違いはない。ここでは、いくつかの地震後の海域調査の結果を概観し、どのような調査が求められ、過去の地震発生の理解にどう重要であるのかを考える。
地震直後の海底調査で多く行われるのは、海底地形調査、地震探査、表層堆積物調査、堆積物コア採取、深層/底層水採取、海底観察などである。海底地形調査はイベント前の地形データとの比較から地形変化を抽出し、構造運動や海底斜面崩壊などを議論できる。堆積物コアの解析と合わせることで、地すべり体の移動様式を推定できる場合もある。表層堆積物の採取からはイベント堆積物の粒度・粒子組成、層厚、堆積構造などが把握でき、それらの特徴や地理的分布から給源や輸送・堆積プロセスとその多様性を知ることができる場合があり、地震時にどこの海底でどのようなことが起こったかを理解するのに役立つ。地震後の底層水が高懸濁状態にあったという報告もあるので、海水の観測結果が堆積プロセスの理解に役立つ場合もある。また、海底地形変化と表層堆積物データを合わせることで、その地域の堆積システムを理解できると、地震履歴のための試料採取場所の検討に有効である。表層堆積物の採取地点のイベント前の堆積物データがあれば、それとの比較によって、より詳細な議論が可能となる場合もある。一方で、調査海域の現世環境下での平常時も含めた堆積物移動や堆積物分布の複雑性を可能な限り理解し、最表層の堆積層の粒度・粒子組成だけでなく、堆積構造も含めた比較や議論を目指さないと対象とする地震によってその変化が生じたのかどうかの議論ができなくなる場合もある。さらに、時間をおいた繰り返し採泥が可能であれば、平常時あるいは地震後の他のイベントよる記録の改変や追加、そして地層としての保存ポテンシャルの評価が可能となり、過去の履歴を検討する際の参考となり得る。
以上のすべてを一つあるいは一グループの調査航海で実施するのは困難であるので、広い範囲の研究者が参加でき、情報を共有できる仕組みづくりが重要である。
地震直後の海底調査で多く行われるのは、海底地形調査、地震探査、表層堆積物調査、堆積物コア採取、深層/底層水採取、海底観察などである。海底地形調査はイベント前の地形データとの比較から地形変化を抽出し、構造運動や海底斜面崩壊などを議論できる。堆積物コアの解析と合わせることで、地すべり体の移動様式を推定できる場合もある。表層堆積物の採取からはイベント堆積物の粒度・粒子組成、層厚、堆積構造などが把握でき、それらの特徴や地理的分布から給源や輸送・堆積プロセスとその多様性を知ることができる場合があり、地震時にどこの海底でどのようなことが起こったかを理解するのに役立つ。地震後の底層水が高懸濁状態にあったという報告もあるので、海水の観測結果が堆積プロセスの理解に役立つ場合もある。また、海底地形変化と表層堆積物データを合わせることで、その地域の堆積システムを理解できると、地震履歴のための試料採取場所の検討に有効である。表層堆積物の採取地点のイベント前の堆積物データがあれば、それとの比較によって、より詳細な議論が可能となる場合もある。一方で、調査海域の現世環境下での平常時も含めた堆積物移動や堆積物分布の複雑性を可能な限り理解し、最表層の堆積層の粒度・粒子組成だけでなく、堆積構造も含めた比較や議論を目指さないと対象とする地震によってその変化が生じたのかどうかの議論ができなくなる場合もある。さらに、時間をおいた繰り返し採泥が可能であれば、平常時あるいは地震後の他のイベントよる記録の改変や追加、そして地層としての保存ポテンシャルの評価が可能となり、過去の履歴を検討する際の参考となり得る。
以上のすべてを一つあるいは一グループの調査航海で実施するのは困難であるので、広い範囲の研究者が参加でき、情報を共有できる仕組みづくりが重要である。
