Presentation Information
[T4-P-18]Experimental study on the effect of humidity on the frictional behavior of quartz-bearing rocks at intermediate to high velocities
*Mamoru Hatanaka1, Akito Tsutsumi1 (1. Kyoto university)
Keywords:
Friction,Granite,Slip-weakening
スロー地震から通常の地震まで、断層の多様な滑り挙動メカニズムを理解するためには、幅広いすべり速度域での断層物質の摩擦特性の評価が本質的に重要である。多くの岩石の定常状摩擦係数(µss)は高い滑り速度域において大幅に低下し[Di Toro et al., 2011]、特に石英岩のµの値は、比較的低い滑り速度域(V ≥ ~1 mm/s)から低下する[Di Toro et al., 2004]。近年、石英の µss の速度依存性が、相対湿度に依存することが報告された。Iida and Tsutsumi (2015)は、合成単結晶石英のµssの値が、乾燥条件下(Dry)では室温条件下より低い滑り速度域から低下することを示した。さらにOnoe and Tsutsumi (2020)は、合成単結晶石英のµssの値が相対湿度に依存性することを報告した。このように、石英の高速摩擦特性における湿度の影響が明らかになりつつあるが、石英以外の鉱物を含む岩石を用いた、同様の摩擦実験はほとんど実施されていない。本研究では石英を含む岩石のµssの値に対する湿度の影響を明らかにすることを目的として、稲田花崗岩とベレア砂岩を用いた実験を実施した。一定の法線応力(1.5 MPa)の下、滑り速度V = 0.01-10 mm/s、相対湿度がDry(<3%RH)と、5%RH-30%RHの範囲での摩擦実験を実施した。相対湿度制御には加湿メンブレン式のシステム(HACU-2, Kitz microfilter)を用いた。
稲田花崗岩の実験結果、V = 10 mm/sでは、滑り距離0.3 mまでにµの値は大幅に低下し、µssの値は約0.2に収束した。V = 1 mm/s では、滑り距離0.3 mまでにµの値は低下し、10%RH以上でµssの値の増加傾向が確認された。V = 0.1 mm/s では、Dry、5%RHで一時的に弱化したが、それ以外の全ての実験では強化し、µssの値は0.6-0.7を示した。V = 0.01 mm/sでは、10%RHでのみ一時的な弱化を示したが、それ以外の全ての実験では強化し、µssの値は0.5-0.9と大きくばらついた。また、予察的結果ではあるが、ベレア砂岩を用いた実験ではµssの系統的な湿度依存性は見られず、µssの値は全ての実験で約0.6であった。
Onoe and Tsutsumi (2020)は、(1)Dry条件下での合成石英のµss がV = 10 µm/sから弱化を開始し、(2) V = 10 µm/s – 105 mm/sの速度域におけるµssの値が、相対湿度の増加に伴い増大する傾向を示すことを報告した。本研究の結果、高湿度条件下での稲田花崗岩のµssは、高湿度条件下での石英のµssに近い値を示す傾向を確認し、相対湿度の増加に伴うµssの値の増加傾向をV = 1 mm/s, 10 mm/sで確認した。一方、ベレア砂岩のµssの値の相対湿度に対する依存性は確認されなかった。以上より、石英を含む岩石間のµssの相対湿度に対する依存性の違いが確認されたが、これに対する岩石間での粒径や組織などの不均質性の違いの影響を評価するため、今後は摩擦面を保存した状態での薄片作成および構造観察等を実施することで、石英を含む岩石への湿度の影響の評価の解明に繋げたい。
参考文献
・G. Di Toro, D. L. Goldsby, and T. E. Tullis [2004], Friction falls towards zero in quartz rocks as slip velocity approaches seismic rates, Nature, 427, 436–439
・G. Di Toro, R. Han, T. Hirose, N. De Paola, S. Nielsen, K. Mizoguchi, F. Ferri1, M. Cocco and T. Shimamoto [2011], Fault lubrication during earthquakes, 24. 3. 2011. Vol. Nature, 4 9 5
・Y. Onoe, 日本地球惑星科学連合2020年大会講演要旨, SSS15-11
・H. Iida, 日本地球惑星科学連合2015年大会講演要旨, SSS27-P21
キーワード: 摩擦, 花崗岩, 滑り弱化
Keywords: friction, Granite, Slip-weakening
稲田花崗岩の実験結果、V = 10 mm/sでは、滑り距離0.3 mまでにµの値は大幅に低下し、µssの値は約0.2に収束した。V = 1 mm/s では、滑り距離0.3 mまでにµの値は低下し、10%RH以上でµssの値の増加傾向が確認された。V = 0.1 mm/s では、Dry、5%RHで一時的に弱化したが、それ以外の全ての実験では強化し、µssの値は0.6-0.7を示した。V = 0.01 mm/sでは、10%RHでのみ一時的な弱化を示したが、それ以外の全ての実験では強化し、µssの値は0.5-0.9と大きくばらついた。また、予察的結果ではあるが、ベレア砂岩を用いた実験ではµssの系統的な湿度依存性は見られず、µssの値は全ての実験で約0.6であった。
Onoe and Tsutsumi (2020)は、(1)Dry条件下での合成石英のµss がV = 10 µm/sから弱化を開始し、(2) V = 10 µm/s – 105 mm/sの速度域におけるµssの値が、相対湿度の増加に伴い増大する傾向を示すことを報告した。本研究の結果、高湿度条件下での稲田花崗岩のµssは、高湿度条件下での石英のµssに近い値を示す傾向を確認し、相対湿度の増加に伴うµssの値の増加傾向をV = 1 mm/s, 10 mm/sで確認した。一方、ベレア砂岩のµssの値の相対湿度に対する依存性は確認されなかった。以上より、石英を含む岩石間のµssの相対湿度に対する依存性の違いが確認されたが、これに対する岩石間での粒径や組織などの不均質性の違いの影響を評価するため、今後は摩擦面を保存した状態での薄片作成および構造観察等を実施することで、石英を含む岩石への湿度の影響の評価の解明に繋げたい。
参考文献
・G. Di Toro, D. L. Goldsby, and T. E. Tullis [2004], Friction falls towards zero in quartz rocks as slip velocity approaches seismic rates, Nature, 427, 436–439
・G. Di Toro, R. Han, T. Hirose, N. De Paola, S. Nielsen, K. Mizoguchi, F. Ferri1, M. Cocco and T. Shimamoto [2011], Fault lubrication during earthquakes, 24. 3. 2011. Vol. Nature, 4 9 5
・Y. Onoe, 日本地球惑星科学連合2020年大会講演要旨, SSS15-11
・H. Iida, 日本地球惑星科学連合2015年大会講演要旨, SSS27-P21
キーワード: 摩擦, 花崗岩, 滑り弱化
Keywords: friction, Granite, Slip-weakening
