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[T5-P-2]Thickness variation of the incoming clay layer at the Japan Trench - from Core-Log-Seismic integration at JTRACK Site C0026 -

*Yasuyuki NAKAMURA1, Jonathan Ford2,3, Uisdean Nicholson4, Ayumu Miyakawa5, Yohei Hamada1, Marianne Conin6, Patrick Fulton7, Jamie Kirkpatrick8, Christine Regalla9, Shuichi Kodaira1, Kohtaro Ujiie10, Nobuhisa Eguchi1, Lena Maeda1, Natsumi Okutsu1, Sean Toczko1, IODP Expedition 405 Science Party (1. JAMSTEC, 2. University of Hamburg, 3. OGS, 4. Heriot-Watt University, 5. AIST, 6. University of Lorraine, 7. Cornell University, 8. University of Nevada, 9. Northern Arizona University, 10. University of Tsukuba)
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Keywords:

Japan Trench,JTRACK,Core-Log-Seismic integration,Pelagic clay

 東北地方太平洋沖地震のプレート境界断層浅部滑りには太平洋プレートに堆積した遠洋性粘土層が大きく関与していたことが示唆されており(たとえば、Ujiie et al. 2013)、粘土層の分布やその厚さの不均質を知ることは重要と考えられる。JFAST掘削の結果からはプレート境界断層帯の粘土層の厚さは約5mと薄く(Chester et al. 2013)、また北部日本海溝アウターライズのDSDP Site 436では約20mの粘土層が得られているものの(Shipboard Scientific Party, 1980)、高品質な地震探査断面が得られていなかったことから、粘土層厚さの分布を反射断面などからマッピングすることは難しいと考えられていた。一方、日本海溝アウターライズから海溝軸にかけて得られた反射断面には粘土層の下に位置するチャート層を解釈できるため、チャート層の解釈を元に粘土層の存否が推定されていた(Fujie et al. 2020, Nakamura et al., 2023)。2024年に実施されたIODP Expedition 405 (JTRACK)では、宮城沖太平洋プレート上のSite C0026を掘削し、堆積層の連続コアリングと掘削同時検層が実施された。この結果、C0026では約30mの遠洋性粘土層が確認された。また、掘削同時検層から得られたP波速度から計算される理論地震波形を元に、Site C0026を横断する反射断面(測線HDMY001)と掘削データの対比を行ったところ、反射断面とコア試料を元にしたLithological Unit区分によい対応関係があることがわかった。半遠洋性泥からなるLithological Unit1、粘土からなるLithological Unit2は、反射断面でのSeismic Unit 2(Nakamura et al. 2013)に対応する。Lithological Unit1は3つのサブユニット(1A, 1B, 1C)に分類されるが、それぞれ反射断面では振幅の異なる区間(1Bが他と比べて強振幅)におおよそ対応している。粘土層(Lithological Unit2)は、Seismic Unit 2の最下部に認められる反射振幅がやや強い区間におおよそ対応し、その上位の反射強度がやや弱い区間(Lithological Unit 1C)とは区別が可能である。詳細な対比の結果、粘土層の上面は上記した反射振幅の異なる区間の境界付近に位置する、比較的連続性のよい反射面が対応することがわかった。粘土層の下位に位置するチャート層は反射断面上では強振幅を持つため追跡することが容易であることから、反射断面から粘土層の厚さを見積もることが可能と考えられる。このことは、Site C0026の結果を元に日本海溝で広域に得られている反射断面上で粘土層上面とチャート層上面の反射面を追跡することで、日本海溝に沈み込む粘土層の厚さをマッピングできる可能性を示唆する。これまでの初期的な解析の結果、Site C0026から北に約20km程度の範囲で粘土層上面の反射面を追跡することができた。この範囲内で粘土層の厚さは往復走時にして約10 – 30 ms(約8 – 24 m)の変化がある。今後、Site C0026での掘削-地震断面の対比をより詳細に行うとともに、粘土層上面反射面の追跡を続け、広範囲での粘土層厚さマッピングを目指す。

参考文献
Ujiie et al., Science, 2013
Chester et al., Science, 2013
Shipboard Scientific Party, Initial Reports of the Deep Sea Drilling Project, 1980
Fujie et al., Geology, 2020
Nakamura et al., PEPS, 2023
Nakamura et al., GRL, 2013