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[T7-P-21]Formation process of phosphate stromatolites in the Paleoproterozoic Jhamarkotra Formation, India

*Kuon SATO1, Abhishek Kumar PANDEY1, Partha Pratim CHAKRABORTY2, Akihiro KANO3, Fumito SHIRAISHI1 (1. Hiroshima Univ., 2. Delhi Univ., 3. University of Tokyo)
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Keywords:

Paleoproterozoic,Snowball earth,Phosphate stromatolite,Jhamarkotra Formation

 ストロマトライトは,底生微生物群集によって形成された葉理をもつ堆積物である.その大半は炭酸塩鉱物から構成されるが,まれにリン酸塩からなるものもある.よく研究されているリン酸塩ストロマトライトとしては,ブラジル新原生界Salitre層およびインド古原生界アラバリ超層群Jhamarkotra層の例が挙げられる.新原生代のリン酸塩ストロマトライトの形成には全球凍結が関係していると指摘されている一方で (Shiraishi et al., 2019),古原生界アラバリ超層群の堆積年代は2.1–1.7 Gaとあまり制約されていないことから (Deb and Thorpe, 2004; McKenzie et al., 2013),全球凍結であるヒューロニアン氷河期 (2.3–2.2 Ga)と関係しているかは不明である.本研究では,Jhamarkotra層のリン酸塩ストロマトライトについて記載を行い,新原生界の例と比較することで,リン酸塩ストロマトライトの形成過程,およびそれが地球環境変動とどのように関連するのか明らかにすることを目的とする.研究手法として,野外調査,薄片観察,粉末X線回折法による鉱物同定,EPMAによる元素マッピング,IR-MSによる炭素・酸素安定同位体比測定を用いた.本研究では,主にJhamarkotra鉱山に見られるリン酸塩ストロマトライトを研究対象とした.ここでは長さ約10 km以上にわたって層厚約13–37 mのリン酸塩岩層が分布しており,しばしば褶曲によって分布が屈曲していた.変形・変成が顕著な部分ではリン酸塩岩は粉砕されていたり,柱状ストロマトライトが層理面に対して平行に引き延ばされていたりする一方で,変形・変成が小さい部分も一部で見られた.リン酸塩岩の上位と下位は主に苦灰岩であり,一部では砂岩~苦灰質砂岩が見られた.ストロマトライトは野外で明灰色を呈し,主にフルオロアパタイトから構成される一方で,それらの間を充填する基質は野外で暗灰色を呈し,主にドロマイトで構成される.また,ストロマトライトには,酸素の気泡に由来すると考えられる球状構造がみられた.新原生界のリン酸塩ストロマトライトと共通する点としては,主にフルオロアパタイトで構成されるストロマトライト部分と,主にドロマイトで構成される基質部分からなる点と,δ13Cおよびδ18Oがドロマイトの同位体分別を反映して重くなる点が挙げられる.また,ストロマトライト中に球状構造が見られることから,新原生界の例と同様に,リン酸塩ストロマトライトの形成にシアノバクテリアなどの酸素発生型光合成微生物が関与していた可能性が考えられる.以上の結果から,古原生界Jhamarkotra層のリン酸塩ストロマトライトの特徴は,全球凍結後に形成された新原生界Salitre層のそれと類似することが明らかとなった.今後は全球凍結との関連性を明確にするため,形成年代を制約することが必要であろう.

引用文献  Deb M., Thorpe R.A. (2004) In: M. Deb and W.D. Goodfellow, eds., Sediment-hosted Lead–Zinc Sulphide Deposits, Narosa Publishing House, pp. 246–263. McKenzie N.R., Hughes N.C., Myrow P.M., Banerjee D.M., Deb M., Planavsky N.J. (2013) Precambrian Research 238, 120–128. Shiraishi F., Ohnishi S., Hayasaka Y., Hanzawa Y., Takashima C., Okumura T., Kano A. (2019) Sedimentary Geology 380, 65–82.