Presentation Information
[T15-P-2]Geological and Petrological Features of the Western Slope of Izu, Suruga Bay
*Momoka NAGASHIMA1, Izumi SAKAMOTO1, Ou HURUHASHI1, Soushi SHIBAO1, Yuka YOKOYAMA1, Mitsuki MORI2, Yuusuke SATOU3, Motirou TANAHASHI4 (1. Tokai University, 2. Chiba University, 3. MARINE WORKS JAPAN LTD, 4. KAIYO ENGINEERING CO.,LTD.)
Keywords:
Izu Peninsula,submarine volcano,bedrock,Shirahama Formation
伊豆半島は, 火山性島弧である伊豆–小笠原弧の北端部に位置し, およそ1Ma頃から本州弧中部に衝突している. 伊豆半島の基盤は下位から中期中新世の仁科層・湯ヶ島層群, 後期中新世〜鮮新世の白浜層群から構成されており, これらは海底での火山活動であった. 駿河湾内における伊豆半島西側斜面域では, 過去に幾つかの音波探査が実施されている. これらによると, 伊豆半島西側斜面には白浜層下部相当の音響基盤が広く分布し, その上部には白浜層相当の賀茂沖層群下部層, さらに賀茂沖層群上部層が薄く分布している(岡村ほか, 1999). 2024年10月に東海大学調査船望星丸(1700トン)にて,海洋理工学科海洋実習3(BO-24-12)が伊豆小笠原弧北部および駿河湾において実施された. 伊豆半島波勝崎沖水深2200~1600mで採泥が行われ, 総量360kgとなる, 大量の岩石(強変質〜弱変質の凝灰角礫岩, 玄武岩〜流紋岩の多様な火山岩片)が採取された. 未固結堆積物以外は全て火山砕屑岩(新鮮な火山岩片を含む)であり, 火山砕屑岩は、色の違いにより1)緑色変質、2)黄土色変質、3)白色変質の3つに大別された. 採取された岩石と海底観察映像から, 伊豆半島西側沖深海部からは, 単一な玄武岩質火山噴出物から安山岩〜流紋岩質へと多様な火山砕屑岩へと変化し, 浅海の特徴を示す様々な火山砕屑岩の変遷が露出していることが明らかになった. 本研究では、BO-24-12で得られた試料に今年度同大学で行われた海洋理工学科海洋実習3(BO-25-02)の試料を加え, 記載岩石学的観点・岩石化学的観点から駿河湾伊豆側斜面における海底の底質状況を報告する. BO-25-02では, 伊豆半島戸田沖水深1050~800m, 土肥沖水深1470~1240m, 波勝崎沖水深1630〜1200mにかけての採泥を行った.伊豆半島戸田沖では, 合計約112.8kgの試料が得られ, 全体の99.7%(重量比)が凝灰質シルト岩, 0.1%が火山岩であった.泥岩には, 炭化木片,貝殻片, 直径1mmほどの生管がみられた.また, 直径7mmほどの生管やその断面が見られた.土肥沖では, 全体で37kgの岩石が硫黄臭のする泥とともに採取された. 火山岩(30.5%), 火砕岩(51.7%), 堆積岩(1.8%)がそれぞれ含まれていた. 火砕岩は, 中に直径2cm~5cmの安山岩~玄武岩の岩片を含み, マトリックスは粗粒~細粒なものが見られ, 緑色に変質している.鏡下では, バリオリティックテクスチャーやシャープな面で切られたガラス, スワローテイルなど, マグマが水中で噴出したことを示す急冷構造が見られた. 岩片には, 断面に一定方向に長軸を持つ気泡が全面に見られる玄武岩質な岩片, 3mmの斜長石や気泡が全面に見られる玄武岩質な岩片, 2mm程度の斜長石や気泡がまばらに見られる安山岩質な岩片が含まれている.火山岩として得られた岩石は, 岩片として火砕岩に含まれていたものと形態的に類似するものと異質なものが見られた. 堆積岩は戸田沖で採取された凝灰質シルト岩と同様のものであった. また, 嫌気環境下で生きる貝が2種, 岩石とともに採取された. 波勝崎沖では, 採取された試料220kgのうち, 火山岩が重量比で88%, 堆積岩が2%採取された.火山岩はほぼ安山岩質であり, 鏡下観察によると, 急冷構造(スワローテイル)・Cpx・Opxが確認され, 一部の岩石には斜長石,・Cpx・ Opxからなる直径4mmほどの集積岩が見られた.以上より, 駿河湾奥の戸田沖水深1000~800mでは大量の凝灰質シルト岩が, 土肥沖1500~1200mでは極微量の凝灰質シルト岩と大量の火砕岩と火山岩が採取された.このことから, 凝灰質シルト岩がこの地域で広く分布していることが確認された. これら凝灰質シルト岩・火砕岩は, 岡村ほか(1999)により賀茂沖層群に対比される.湾口の波勝崎沖水深2200~1600m(BO-24-12)では, 緑色変質・黄土色変質・白色変質の火砕岩と, 強変質〜弱変質の凝灰角礫岩, 玄武岩〜流紋岩の多様な火山岩片が大量に採取された. その延長と推定されるBO-25-02では, その9割近くを安山岩質な火山岩が占めていた. この安山岩質火山岩には斜長石の針状結晶やスワローテイルが見られ, 水中噴出したものであると推測された. 参考文献:坂本泉(2025)伊豆半島西側斜面深海部域から採取された水中火山岩類の意義[SVC36-09]岡村ほか(1999)20万分の1海底地質図「駿河湾」.海底地質図,No.52,地質調査所.
