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[G-P-25]Integration and characteristics of bathymetric data around Okinotori Islands

*Seishiro Furuyama1, Eiishi Kikawa2, Naoki takatsuki2, Kazuo Nakahigashi1 (1. Tokyo University of Marine Science and Technology, 2. IDEA Consultants, Inc.)
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Keywords:

Okinotorishima Islands,Bathymetry

 日本国最南端の島である沖ノ鳥島は東京都小笠原村に所属しており,地政学的,経済学的な観点から重要な国境離島の1つである.沖ノ鳥島は,フィリピン海をおよそ南北に縦断する九州・パラオ海嶺上にあり,フィリピン海の中央部付近に位置する.沖ノ鳥島は海山上に発達したサンゴ礁を起源としており,現在は東小島および北小島が海面上に露出する.沖ノ鳥島周辺では,生物学,環境学的,海洋工学,地政学に関する研究はこれまでも実施されている(例えば,Kayane et al., 2012)が,地球科学的な研究例は少なく,島の成り立ちについて依然として不明な点が多い.そこで本研究では,沖ノ鳥島周辺海域で取得された海底地形データをはじめとする地球物理観測データを集積・統合し,詳細な海底地形図の作成およびその広域化を実施する.
本研究では,既存データとして,海洋研究開発機構(以下,JAMSTEC)が公開する航海・潜航データ・サンプル探索システム,一般財団法人日本水路協会発行「海底地形デジタルデータ」M7000シリーズから海底地形データを集積した.さらに,いであ株式会社が東京都 沖ノ鳥島・南鳥島に関する研究調査事業により2023年度および2024年度に取得した海底地形データをご提供いただいた.海底地形データの統合は地理空間情報解析ソフトウェアであるQGIS v3.34(QGIS.org, 2023)を用いて行なった.得られた海底地形について、CS立体図,CIマップ、赤色立体図を作成した。これらはいずれも、傾斜方向の変化を明瞭にする地形表現法で、地形の特徴を理解するのに用いられる。これらに加え、最も詳細な海底地形が得られているいであ株式会社の海底地形データを用いて,地形断面および3D海底地形をFledermaus v7(QPS社製)を用いて作成した.
沖ノ鳥島に関する海底地形データを統合したところ,沖ノ鳥島から約5 km以内の海域の海底地形は詳細に取得されており,沖ノ鳥島付近の水深300以浅を除き,データの抜けがほとんどない.沖ノ鳥島から離れると,海底地形データの密度は低くなるが,沖ノ鳥島の北北西および南西の海域では,比較的データ密度が高い.一方で,沖ノ鳥島の北東海域は,データ密度が著しく低く,海底地形に不明な点が多い.
詳細な海底地形が得られている範囲について,地形断面および各種地形表現により観察したところ,沖ノ鳥島山体の東側から南東側にかけて放射状地形が複数重なって分布することを,本研究で新たに見出した.さらに,CIマップから,沖ノ鳥島山体の北側から南西側の,比較的ななだらかな斜面において,小規模な放射状地形が複数分布していることを新たに見出した.沖ノ鳥島周辺海域で認められた大小の放射状地形について,規模の大きなものは長期的な海水準変動に応じて形成されたものであり,小規模なものは暴浪のような短期的なイベントによって形成されたものである可能性があるが,それらの詳細については、今後の調査が必要である.
【引用文献】
Kayanne, H. et al., 2012, Low species diversity of hermatypic corals on an isolated reef, Okinotorishima, in the northwestern Pacific. Galaxea, Journal of Coral Reef Studies, 14, 73-95.
QGIS.org, 2023, QGIS Geographic Information System: QGIS Association, http://www .qgis .org.