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[O2-14]A 28-years follow up of overdenture in the lower jaw and a complete denture in the upper jaw : A case report

*Masakazu Soejima1, Shinya Nakano1 (1. Kyushu Branch)
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【緒言】
 日常臨床で遭遇する無歯顎患者では,それぞれの顎堤諸条件が異なり,また心理的背景が複雑に絡み合っているため,個々の症例に応じた対応が要求される.1)しかし患者サイドは,過去の診療に対する不満やこれからの新義歯に対する淡い期待を抱いて来院する.
したがって,機能と審美の回復を同時に図らなければ患者の満足は得られない.2)いわゆる無歯顎の「入れ歯」では,下顎位と人工歯や義歯研磨面が顔面表情筋の動的な表出と 良く調和した時,患者の若さや,心の豊かさが再現されなければならない.3)よって良好な無歯顎補綴はアンチエイジング効果をもたらすもっとも劇的な手法と言っても過言ではない.4)今回下顎にドルダーバーを用いたインプラント・オーバーデンチャー,上顎に総義歯を装着し28年良好に経過した一症例を報告する.
【症例の概要・治療内容】
 患者は53歳男性で1996年4月「歯周病と咬み合わせが悪く豆腐しか食べれず体重が75kgから20kg減ったのでしっかり咬めるように治療したい」を主訴に来院した.基礎資料より全ての残存歯を抜歯後,仮の上下の総義歯を装着した.顎堤治癒後下顎はITIインプラントを支台歯としてドルダーバーアタッチメント,上顎はイボカップ総義歯を装着し,約10ケ月で治療を終了した.
【経過ならびに考察】
 現在最終補綴装着後28年経過した,その間下顎インプラントオーバーデンチャーはリベース・修理は行っていない.一方上顎総義歯は受圧・加圧の要因で4回破折し新製したがそれぞれ機能的には何ら問題は認められない.本症例における顔写真の使用は患者本人の同意を得ている.
【参考文献】
1) 田中久敏.総義歯の顎位と咬合採得.the Quintessence 1944;13(12):64-85.
2)西浦恂(訳),Esthetics審美補綴.大阪:モリタ,1975.:18-35
3) Levin B(淵健次郎,稲葉俊介).総義 歯の臨床ーQuestion&Answer ー.東京:書林; 1978,123-142.
4) Passamonti G(西浦恂,権田悦通).パサモンティの総義歯アトラス.東京:クインテッセンス出版;1981,11-26.