Presentation Information
[P-2]Systematic review of treatment dentures: Evaluation of effectiveness using OHIP
*Mamoru Murakami1, Haruka Miyata2, Yurika Oura 2, Kae Harada3, Masahiro Nishimura4 (1. Removable Prosthodontics and Implant Dentistry, Kagoshima University Hospital, 2. Department of Oral and Maxillofacial Prosthodontics, Kagoshima University Graduate School, 3. Department of Prosthetic Dentistry, Medical and Dental Sciences, Graduate School of Biomedical Sciences, Nagasaki University, 4. Department of Fixed Prosthodontics and Orofacial Function, Osaka University Graduate School of Dentistry)
【目的】
我が国における義歯使用者の割合は,年齢とともに増加している1).適応能力の低下した高齢者では,最終義歯の製作に先立ち,咬合治療や粘膜治療を目的に治療用義歯を装着する必要があるとされている2).治療用義歯の有効性は,日本補綴歯科学会の有床義歯補綴診療ガイドラインにおいてGrade Bとして推奨されているが,これらは2008 年12 月までの調査に基づいたものであり,情報を更新する必要がある.一方,補綴治療の有効性の評価は,患者自身による評価も重要である.Oral Health Impact Profile (OHIP)は,患者の口腔健康を示す患者報告アウトカムとして国際的に広く用いられている.本研究の目的は,治療用義歯の有効性について,OHIPを用いて定量的に評価した研究の系統的レビューを行うとともにそのアウトカムに影響する要因を検討することである.
【方法】
プロトコルはMinds診療ガイドライン作成マニュアル2020 ver. 3.0 に準拠して作成し,PROSPEROに登録した(CRD42022340940).適格基準は,部分歯列欠損や無歯顎患者において新義歯製作前に治療用義歯を装着し,治療前後にOHIPを用いた評価を行ったものとした.検索はPubMed,Scopus,医中誌Webならびにハンドサーチで行い,検索期間は2009年1月から2022年12月までとした.
【結果と考察】
検索,スクリーニングならびに適格性評価の結果,26件の症例報告が採用され,OHIP-J54を用いたものが12例,OHIP-J14が14例であった(図). 治療前後のOHIPサマリースコアは,両群とも治療終了後で有意に低下し,口腔関連QOLが改善したことが示された.治療前後におけるOHIPサマリースコアの変化からは,多くが最小重要差(OHIP-J14:6点, OHIP-J54:14点)以上の改善を示した.治療前後のOHIPサマリースコア変化量と各変数との相関分析の結果,両群ともに初診時OHIPサマリースコアと有意な相関関係を認めた. 以上の結果から,治療用義歯を用いた場合,治療後のQOLは改善され,難症例においてその改善効果が高い可能性が示唆された.
【参考文献】
1) 厚生労働省.平成28年度歯科疾患実態調査.
2) 市川哲雄,大川周治,大久保力廣ほか編.無歯顎補綴治療学第4版.東京:医歯薬出版;2022,98-107.
我が国における義歯使用者の割合は,年齢とともに増加している1).適応能力の低下した高齢者では,最終義歯の製作に先立ち,咬合治療や粘膜治療を目的に治療用義歯を装着する必要があるとされている2).治療用義歯の有効性は,日本補綴歯科学会の有床義歯補綴診療ガイドラインにおいてGrade Bとして推奨されているが,これらは2008 年12 月までの調査に基づいたものであり,情報を更新する必要がある.一方,補綴治療の有効性の評価は,患者自身による評価も重要である.Oral Health Impact Profile (OHIP)は,患者の口腔健康を示す患者報告アウトカムとして国際的に広く用いられている.本研究の目的は,治療用義歯の有効性について,OHIPを用いて定量的に評価した研究の系統的レビューを行うとともにそのアウトカムに影響する要因を検討することである.
【方法】
プロトコルはMinds診療ガイドライン作成マニュアル2020 ver. 3.0 に準拠して作成し,PROSPEROに登録した(CRD42022340940).適格基準は,部分歯列欠損や無歯顎患者において新義歯製作前に治療用義歯を装着し,治療前後にOHIPを用いた評価を行ったものとした.検索はPubMed,Scopus,医中誌Webならびにハンドサーチで行い,検索期間は2009年1月から2022年12月までとした.
【結果と考察】
検索,スクリーニングならびに適格性評価の結果,26件の症例報告が採用され,OHIP-J54を用いたものが12例,OHIP-J14が14例であった(図). 治療前後のOHIPサマリースコアは,両群とも治療終了後で有意に低下し,口腔関連QOLが改善したことが示された.治療前後におけるOHIPサマリースコアの変化からは,多くが最小重要差(OHIP-J14:6点, OHIP-J54:14点)以上の改善を示した.治療前後のOHIPサマリースコア変化量と各変数との相関分析の結果,両群ともに初診時OHIPサマリースコアと有意な相関関係を認めた. 以上の結果から,治療用義歯を用いた場合,治療後のQOLは改善され,難症例においてその改善効果が高い可能性が示唆された.
【参考文献】
1) 厚生労働省.平成28年度歯科疾患実態調査.
2) 市川哲雄,大川周治,大久保力廣ほか編.無歯顎補綴治療学第4版.東京:医歯薬出版;2022,98-107.