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[P-4]Development of dental magnetic attachments
-investigation of magnetic shield material without Ni-

*Akira Kikuchi1, Yukyo Takada1, Keikyo Onodera1 (1. KEDC Co., Ltd.)
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【目的】
 国産の磁性アタッチメントは,としてシールドリングやスペーサーに用いられ,カップヨーク型磁石構造体全体では平均すると0.2~0.3%前後のNiが含まれている.しかし、ISO13017やJIS T 6543では,Niは有害元素に指定されており,0.1%を超え含有する場合にはその申告が義務付けられている.そのような経緯から,カップヨーク型の磁気回路に適したNiを全く含まない磁気遮蔽材料を検討し,Niフリー磁性アタッチメントの開発を目的とした.
【方法】
 磁性を示すフェライト系ステンレス鋼のSUS XM27(Fe-26Cr-1Mo)の丸棒を実験に供し,①窒素固溶による丸棒表面の非磁性化と②メッキ技術による非磁性層の生成を試みた.①実験では,固溶時間を変化させ,ステンレス鋼棒に窒素固溶処理(1150℃,N2:1atm)行い,丸棒外周のα相をγ相に変態(非磁性化)させて磁気遮蔽材料とした.γ相のみの試料のX線回折,金属組織観察,機械的性質(引張試験,硬さ試験),耐食性(アノード分極曲)を調べた.②実験では,AuとCrの厚膜メッキを電解により,50~200μmの膜厚になるよう調整した.メッキ後の試料を800~900℃で加熱し,固相拡散処理を付与した.処理後の試料の金属組織,元素分布を観察し,耐食性試験(長期浸漬試験,アノード分極曲線)と咬合試験(100N,約270万回)を行った.
【結果と考察】
 ①実験では,γ相の機械的性質は,Hv350を超える値を有し,引張強さ(約900 MPa),耐力(約700MPa),伸び(約20%)を示した.また,耐食性については,γ相単独では不動態化保持電流密度が減少し破壊電位も上昇することがわかった.クラッド加工なしでNiを含まない磁気遮蔽リングを取り付けたディスクヨークを作ることができたが,磁石構造体を試作した結果,歩留まりにやや難点があった.②実験では,熱処理による固相拡散により,メッキ層の密着性が向上して実用可能な接合が得られた.溶接方法を改善した磁石構造体を試作し,磁性アタッチメントの性能を従来品と比較した.Auメッキでは,溶接部に局部腐食が生じたが,Crメッキでは従来品と同等あり,歩留まりも向上したため,Niを含まない磁気遮蔽材料を用いた磁性アタッチメントの試作に成功した.