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[P-109]Relationship between respiratory effort and RMMA occurrence during sleep

*Kento Hata1, Ryota Takaoka1, Masahiro Nishimura1, Takafumi Kato2 (1. Osaka University Graduate School of Dentistry Department of Regenerative Prosthodontics, 2. Department of Oral Physiology, Osaka University Graduate School of Dentistry)
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【目的】
 若年睡眠時ブラキシズムは,リズム性咀嚼筋活動(Rhythmic masticatory muscle activity:以下RMMA)発生前の血中酸素飽和度が微減することが報告されており,睡眠中の呼吸制限を補償するために生じる呼吸努力がRMMAの発生に関与している可能性が考えられる.しかし,血中酸素飽和度の評価にはパルスオキシメータを用いるため,その変化を検出するには一定時間の遅れが生じることから,RMMA発生前の正確な時間的関係を評価することが難しい.そこで本研究では,RMMA前の呼吸状態を評価することを目的として,安静睡眠時とRMMA発生前における胸部と腹部の運動の位相差を定量化し,呼吸努力とRMMA発生の関連性を調べた.
【方法】
 研究の同意を得て睡眠時ポリソムノグラフィ検査を実施した20代のボランティアから,無呼吸低呼吸指数5回/時間以下かつRMMA指数4回/時間以上を示した10名を抽出した.RMMAエピソード発生前の20秒を評価区間とし,計236区間を解析対象とした評価した.区間内の胸部および腹部呼吸運動の波形をそれぞれX軸,Y軸とする図1のようなリサジュー図形を作成した.リサジュー図形の傾きの直線(図1の青線)からリサジュー曲線(図1の黒線)までのY軸方向の距離(図1の赤線)を0.1秒ごとに算出し,その平均値を「呼吸位相差指数(Respiratory phase difference index:以下RPDI)」とした.各被験者のRMMA発生前と安静睡眠時のRPDIの中央値をWilcoxonの符号付き順位検定を用いて比較した.また,鼻圧センサーで測定した呼吸流量の波形をもとに評価区間における呼吸流量制限を判定した.
【結果と考察】
 10人の被験者全員において, RMMA発生前のRPDIは安静睡眠時と比較して統計学的に有意に高い値を示した(p = 0.005)(図2).RMMA発生前は安静睡眠時に比べて,胸部と腹部呼吸運動の位相差が大きく,努力性の呼吸が生じている可能性が示唆された.また,RMMA発生前の評価区間の78%で呼吸制限を認めなかった.以上から,呼吸制限が必ずしもRMMA発生の前提条件ではなく,呼吸努力がRMMA発生に関与する可能性が示唆された.