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[P-115]Relationship between masticatory performance and perioral muscles on the habitual and non-habitual chewing sides

*Tatsuhiro Suzuki1, Naoki Asanuma2, Yuko Watarai1,2, Momoka Kawana1, Kotono Nagata1, Tomonori Niituma1, Fumi Mizuhashi1,2 (1. Functional Occlusal Treatment, The Nippon Dental University Graduate School of Life Dentistry at Niigata, 2. Department of Removable Prosthodontics, The Nippon Dental University School of Life Dentistry at Niigata)
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【目的】
 咀嚼能力には咬断能力,粉砕能力および混合能力がある.これまで習慣性咀嚼側および非習慣性咀嚼側における咬断能力および粉砕能力の評価は行われてきたが,混合能力の評価は行われていない.混合能力は舌圧や頰圧と関連があることが報告されている.そこで,本研究は咀嚼側における咀嚼能力と口腔周囲筋との関係を検討した.
【方法】
 対象者は歯科矯正治療歴がない健常有歯顎者6名(男性4名,女性2名,平均年齢24.3 ± 1.6歳)とした.なお,本研究は日本歯科大学新潟生命歯学部倫理審査委員会の承認を得て対象者に同意を得て行った(許可番号:ECNG-R-548).測定は,咬断能力,混合能力,舌圧および頰圧について行った.習慣性咀嚼側の決定はグルコラムの自由咀嚼により咀嚼しやすい側とした.咬断能力はグルコセンサーを用いて左右側2回ずつ測定を行った.混合能力は,咀嚼チェックガムを用いて,左右側2回ずつ測定を行った.舌圧および頰圧の測定は,JMS舌圧測定器を用いて3回測定を行った.頰圧の測定は,中心咬合位で咬合させ第一大臼歯の頰側歯面と頰粘膜間にバルーンを介在させ,頰の最大の力でバルーンを潰すよう指示した.統計解析は習慣性咀嚼側および非習慣性咀嚼側における咬断能力,舌圧および頰圧の関係をPearsonの相関係数で,混合能力と咬断能力,舌圧および頰圧との関係をSpearmanの順位相関係数で求めた.習慣性咀嚼側と非習慣性咀嚼側の比較は,対応のあるt検定およびWilcoxonの符号付順位検定で分析した.
【結果と考察】
 習慣性咀嚼側における混合能力と舌圧との間に強い負の相関を認め(r = -0.84, p < 0.05),また,非習慣性咀嚼側における咬断能力と舌圧の間に強い負の相関を認めた(r = -0.90, p < 0.05).咬断能力,混合能力および頰圧は,習慣性咀嚼側と非習慣性咀嚼側の間に有意差を認めなかった.咀嚼時の舌圧は,咀嚼前期および咀嚼後期に比べて嚥下時で大きくなることが報告されている.混合能力および咬断能力と舌圧との間に負の相関を認めたことは,混合能力および咬断能力が低い者は,咽頭への移送に力が必要となり,舌圧が大きくなることが考えられた.本研究の結果,咀嚼側における咀嚼能力と舌圧との関係があることが明らかとなった.今後,被験者数を増やし,性差による違いの検討を行っていく所存である.