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[P-131]Functional rehabilitation of posterior tooth loss in young patients featuring resin-bonded fixed dental prostheses

*Eiji Gaijo1, Tomonari Okawa2, Masashi Takafuji2, Yoichi Terao2, Keisuke Mori2, Kensaku Nagamine3, Matthias Kern2, Kentaroh Nakamura2 (1. Chugoku・Shikoku Branch, 2. Tokai Branch, 3. Touhoku・Hokkaido Branch)
【緒言】
 小臼歯の先天性欠如は決してまれではないが,若年者には補綴歯科治療の介入を延引し,晩期残存を無理に継続させている症例も少なくない.また,年齢を重ねることでインプラント治療の適応としている症例も散見される.しかしながら,その多くは口腔機能の低下を認める症例はきわめて少ない.そこで,われわれは正常に機能を営む臼歯部欠如に対し,経年的に口腔環境を保持させることを目的に接着カンチレバー装置を選択している.今回は,下顎左右側小臼歯の先天性欠如に応用した症例を報告する.
【症例の概要・治療内容】
 患者は20歳女性.晩期残存乳歯に過度なう蝕を認め,先天性欠如に対する見通しに不安を訴え来院した.術前の検査では口腔機能の低下はいっさい認められなかった.そこで,口腔環境を保持できることを考慮した,診断用ワックスアップに基づいたイントラオーラルモックアップを試適した.患者本人とその家族には,審美性の向上だけでなく口腔機能の維持の重要性を説き,左側は⎾6,右側は⏋4を支台歯とする接着カンチレバー装置を提案し,患者とその家族に同意を得た.接着カンチレバー装置作製については,森らが示す術式および過程に準拠した1)
【経過ならびに考察】
 接着後1か月が経過したが,技術的合併症および生物学的合併症は認められない.術後の検査から,術前の口腔機能が維持されていることが確認された.また,口腔関連QoL(OHIP-J54:初診29点→装着後4点)は顕著に向上した.このことから,臼歯部接着カンチレバー装置が審美性の向上に止まらず,口腔機能の維持に一役を担うことが示唆された.然りとて,患者の将来における歯列や咬合,口腔組織の変化を予測することは難事である.したがって,長期におよぶ補綴装置管理を継続し,補綴装置の設計変更など術後対応を可能とする体制を整えておく必要があると考える.
【参考文献】
1)森圭右,大川友成,中村健太郎ほか.若年者の連続2歯欠損にジルコニアカンチレバー接着ブリッジで審美回復した症例.日補綴会誌 2024;16:348.
(発表に際して患者・被験者の同意を得た)