Presentation Information
[P-137]A case of cognitive behavioral therapy for awake bruxism after wearing a removable prosthesis
*Taiga Edono1, Koichiro Ogami1, Kaoru Miyamoto1, Fusa Maeta1, Shuya Yoshida1, Reona Hashimoto1, Shohei Hasegawa1, Takayuki Ueda2 (1. Division of General Dentistry, Chiba Dental Center, Tokyo Dental College, 2. Department of Removable Prosthodontics & Gerodontology, Tokyo Dental College)
【緒言】
覚醒時ブラキシズムは自身で改善が図れるが,自己認識が難しい.今回我々は,義歯新製後に生じたブラキシズムに対し,認知行動療法を行う機会を得たため,その概要を報告する.
【症例の概要・治療内容】
64歳の男性.義歯が何度も壊れ,新しく入れ歯が欲しいことを主訴として当科を受診.2014年に下顎両側臼歯部にインプラント補綴を行い,その後,上顎総義歯を製作したが義歯破損を繰り返していた.使用中の義歯は中心咬合位での咬合接触部位が前歯部のみで,床粘膜面の不適合を認めた.顎堤粘膜に異常は認めず,顎関節の異常も見られなかった.
治療方針は上顎フラビーガム部に対して無圧印象を行い,下顎臼歯部が固定性インプラント補綴であることと義歯破損歴から金属床義歯を製作し,咀嚼機能回復を図ることとした.
総義歯装着1か月後,口蓋粘膜後方の違和感を訴え,義歯床後縁相当部の口蓋粘膜に圧痕を認めた.床粘膜面の適合状態や咬合接触状態,咬合高径に問題はなく,義歯床後縁部に鋭利な箇所も確認されなかった.口蓋粘膜の圧痕が義歯床後縁と一致していることや旧義歯臼歯部咬耗,新義歯長時間使用後の咀嚼筋痛から日中のかみしめによるものと疑い,ブラキシズムに対する認知行動療法を行うこととした.具体的には,時計や特定の色を見た際にかみしめを行っていないかを習慣的に確認させ,もし行っている場合は中止するように指導した.
総義歯装着2か月後,症状は改善せず,日中のかみしめは行っていなく,金属床による圧迫からの症状ではないかと訴えたため,複製義歯を常温重合レジンで製作し,装着した.
複製義歯装着1か月後,口蓋粘膜の圧痕に変化はなく,金属床義歯と複製義歯の装着感に違いはないと訴えた.再度ブラキシズムを疑い,義歯適合状態や咬合に問題はなく義歯床材料の違いも原因ではないことを説明し,再び認知行動療法を行った.
【経過ならびに考察】
2度目の認知行動療法1か月後,口蓋粘膜の圧痕は軽減した.義歯の新製により咬合接触状態が改善し,臼歯部への圧が均等に加わった結果,咬合変化が生じた.この咬合変化により,旧義歯使用時には見られなかった所見が確認され,患者の覚醒時ブラキシズムが発現したと推測される.
義歯新製によって口腔内環境が変化し,新たな問題が生じることが少なからずあるが,本症例では複製義歯を用いることで患者の理解を得ることができ,問題の解決にいたった.
覚醒時ブラキシズムは自身で改善が図れるが,自己認識が難しい.今回我々は,義歯新製後に生じたブラキシズムに対し,認知行動療法を行う機会を得たため,その概要を報告する.
【症例の概要・治療内容】
64歳の男性.義歯が何度も壊れ,新しく入れ歯が欲しいことを主訴として当科を受診.2014年に下顎両側臼歯部にインプラント補綴を行い,その後,上顎総義歯を製作したが義歯破損を繰り返していた.使用中の義歯は中心咬合位での咬合接触部位が前歯部のみで,床粘膜面の不適合を認めた.顎堤粘膜に異常は認めず,顎関節の異常も見られなかった.
治療方針は上顎フラビーガム部に対して無圧印象を行い,下顎臼歯部が固定性インプラント補綴であることと義歯破損歴から金属床義歯を製作し,咀嚼機能回復を図ることとした.
総義歯装着1か月後,口蓋粘膜後方の違和感を訴え,義歯床後縁相当部の口蓋粘膜に圧痕を認めた.床粘膜面の適合状態や咬合接触状態,咬合高径に問題はなく,義歯床後縁部に鋭利な箇所も確認されなかった.口蓋粘膜の圧痕が義歯床後縁と一致していることや旧義歯臼歯部咬耗,新義歯長時間使用後の咀嚼筋痛から日中のかみしめによるものと疑い,ブラキシズムに対する認知行動療法を行うこととした.具体的には,時計や特定の色を見た際にかみしめを行っていないかを習慣的に確認させ,もし行っている場合は中止するように指導した.
総義歯装着2か月後,症状は改善せず,日中のかみしめは行っていなく,金属床による圧迫からの症状ではないかと訴えたため,複製義歯を常温重合レジンで製作し,装着した.
複製義歯装着1か月後,口蓋粘膜の圧痕に変化はなく,金属床義歯と複製義歯の装着感に違いはないと訴えた.再度ブラキシズムを疑い,義歯適合状態や咬合に問題はなく義歯床材料の違いも原因ではないことを説明し,再び認知行動療法を行った.
【経過ならびに考察】
2度目の認知行動療法1か月後,口蓋粘膜の圧痕は軽減した.義歯の新製により咬合接触状態が改善し,臼歯部への圧が均等に加わった結果,咬合変化が生じた.この咬合変化により,旧義歯使用時には見られなかった所見が確認され,患者の覚醒時ブラキシズムが発現したと推測される.
義歯新製によって口腔内環境が変化し,新たな問題が生じることが少なからずあるが,本症例では複製義歯を用いることで患者の理解を得ることができ,問題の解決にいたった.