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[P-158]The new denture fabrication with digital technology for the complete denture patient needed to correct of mandibular position

*Hanako Uesugi1, Kunihisa Nakajima1, Hiroshi Shiga1, Marie Komino1, Masaoki Yokoyama1, Yuka Sumita1 (1. Department of Partial and Complete Denture, The Nippon Dental University School of Life Dentistry at Tokyo)
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【緒言】
 近年,クラウンブリッジ分野のみでなく可撤性義歯分野においてもデジタル化が普及している.口腔外スキャナーを用いて義歯をスキャンし,3Dプリンターで製作した義歯で印象採得を行う試み1)などがなされているが,本症例では下顎位の修正が必要な全部床義歯装着患者に対してデジタル技術を応用し,新たな義歯を製作したので報告する.本発表に関して患者からの同意を取得している.
【症例の概要・治療内容】
 患者は72歳女性.咀嚼時の疼痛を主訴として来院した.3か月前に上下顎全部床義歯を新製したが,装着当初からうまく噛めず,繰り返し調整しても改善しなかったという.上下顎義歯はそれぞれの顎堤に適合していたが,下顎臼歯部床下粘膜に発赤と咬合時疼痛が認められた.下顎位の不良を疑い,義歯を装着した状態で静かに閉口してもらうと,下顎が後方に誘導されたため,咬合採得時の下顎の前方変位による下顎位のずれが原因と考えられた.現義歯を用いて新たな義歯を製作することとした.静かに閉口した状態で咬合採得を行い,上下顎義歯を一塊にして取り出したのち,上下顎義歯を口腔外スキャナー(3 Sape E3)にて読み込み,下顎義歯を3Dプリンター(松風S-WAVE IMD-S)にて造形することで,下顎位のずれを修正した新義歯を製作することができた.
【経過ならびに考察】
 下顎位を修正した新たな義歯を装着し,義歯内面の適合の調整や咬合調整を行ったところ,粘膜の発赤や疼痛は消失し,咀嚼能力検査値も向上した.デジタル技術の応用により新たな咬合採得のみで新義歯を製作することが可能となり,患者の心理的・身体的負担の減少に寄与できたと考えられる.
【参考文献】
1) Tanaka J, Murakami T, Tanaka S et al. Accuracy of Implant-Supported Copy Overdentures Fabricated Using Either an Intraoral Scanner and a 3D Printer or the Conventional Copy Denture Technique: A Comparative Study. Int J Oral Maxillofac Implants 2022;37(5):989-996.