Presentation Information

[P-73]Factual investigation of temporomandibular disorders patients in TMD&Bruxism Clinic

*Minami Sakai1,2, Ryo Mizuhashi1,2, Yuko Watarai2,3, Tatsuhiro Suzuki2,4, Fumi Mizuhashi1,2,3,4 (1. Comprehensive Dental Care, The Nippon Dental University Niigata Hospital, 2. TMD&Bruxism Clinic, The Nippon Dental University Niigata Hospital, 3. Department of Removable Prosthodontics, The Nippon Dental University School of Life Dentistry at Niigata, 4. Functional Occlusal Treatment, The Nippon Dental University Graduate School of Life Dentistry at Niigata)
PDF DownloadDownload PDF
【目的】
 日本歯科大学新潟病院には,顎関節症と歯ぎしりの治療およびこれらの障害に付随する種々の症状の改善を目的とした,あごの関節・歯ぎしり外来(以下あごの関節外来)が設置されている.本研究は,あごの関節外来の担うべき役割を検討する基礎データとして,受診患者の特徴と経過を把握することを目的とした.
【方法】
 対象は,2024年1月1日から2024年9月30日までの9か月間に当院あごの関節外来を受診した患者111名(男性28名,女性83名,平均年齢48.3±20.9歳)とした.外来診査表に記録された情報(年齢,性別,初診時の顎関節の診査結果,初診時および治療終了時の最大開口量,初診時および治療終了時の痛みと顎関節音の評価(visual analogue scale:以下VAS))および診療録に記載された情報(主訴,顎関節症病態分類,治療方法)からデータを抽出し,受診患者の傾向を分析した.なお,VASは顎関節ついて患者が自覚する痛みの程度を11段階(0:痛みがない~10:最悪の痛み)で評価し,顎関節音は患者が気になる音を11段階(0:音がない~10:非常に気になる大きな音)で評価した.
【結果と考察】
 受診患者111名について,年齢は40歳以上,性別は女性が多い傾向であった.主訴は顎関節痛が66名,咀嚼筋痛が0名,開口障害が8名,顎関節雑音が22名,その他が15名であった.初診時の顎関節雑音については,クレピタスに対しクリックを認める患者が多い傾向であった.治療方法は,全例で外科的療法は行われておらず,保存的療法が行われていた.初診時および治療終了時の最大開口量を比較すると,開口量が増加している患者が多かった.顎関節の痛みおよび顎関節音におけるVASスコアは,初診時に比較し治療終了時で減少する傾向であった.
 治療方法は全例で保存的療法が選択されていたが,最大開口量と顎関節痛および顎関節雑音におけるVASスコアは初診時に比較し治療終了時で改善していた.このことから,当院のあごの関節外来においては,日本顎関節学会の顎関節症治療の指針2020に記載されている治療,管理目標が達成されていると考えられる.また,保存的療法は外科的療法と同程度に症状の改善をもたらすことができるとされているため,今後も保存的療法を継続し,患者に侵襲のない良質な治療を提供していくことが求められる.