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[P-74]Relationship between pseudo-disc formation appearance on MRIs and clinical signs and symptoms of the temporomandibular joint disorder at 12-year follow-up

*Haruna Miki1, Shun Okuni2, Yoshihiro Shiroyama1, Hajime Minakuchi2, Kenji Maekawa3, Takuo Kuboki1 (1. Department of Oral Rehabilitation and Regenerative Medicine, Faculty of Medicine Dentistry and Pharmaceutical Sciences, Okayama University, 2. Department of Oral Rehabilitation and Implantology, Okayama University Hospital, 3. Department of Removable Prosthodontics and Occlusion, Osaka Dental University)
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【目的】
 顎関節円板障害の治癒機転に,円板後部結合組織の軟骨化生が関与すると考えられている.その兆候を示す臨床検査所見としてMRI上の偽関節円板像が知られているが1),その臨床的な意義は明らかでない.そこで,顎関節円板障害患者の遠隔予後調査時に本偽関節円板像がどの程度発現するか,またその際の臨床症状との関連を検討した.
【方法】
 対象は,2003年1月から2008年10月の間に顎関節症状を主訴に当科を受診し,顎関節MRI検査により顎関節円板障害と診断された患者338名のうち,治療終了12年後に本院にて顎関節MRI検査,臨床診査を行うことに同意した患者70名とした.
 MRI検査では,閉口時と自力最大開口時のプロトン密度強調画像を撮像した.偽関節円板像の読影は,3名の検者が独立して評価した.十分なTest-retest reliabilityが得られることを確認した読影基準を用いて偽関節円板像の有無を判断した(Kappa値:0.71).
 偽関節円板像の有無の読影基準は,復位性関節円板前方転位症例では,開閉口時ともに関節円板の後方に連続した中等度の信号強度を示す像の存在をもって有りとした.非復位性関節円板前方転位症例では,この所見に加えて,皮質骨陰影の明らかな接触が観察されないことをもって有りとした.
 本発表では,初診時に偽関節円板像を認めない者(83関節)のみを抽出し,12年後の経過観察時に撮影したMRIに偽関節円板像が認められた者が,経過観察時に観察されたどの様な臨床症状(開口量,疼痛)と関係があったかを検討した.
【結果と考察】
 12年後の経過観察時に新たに偽関節円板像が確認できたのは12関節(14.5%)であった.経過観察時の無痛自力最大開口量が35 mm以上,もしくは顎関節部の運動時痛の疼痛レベルが30以下(VAS: 0-100)を軽度とした時に,偽関節円板像の発現と疼痛レベル(軽度)の頻度には関連を示す傾向が認められたが,開口量には有意な関連が認められなかった(それぞれ,p=0.05p=0.26χ2検定).すなわち,MRI上の偽関節円板像の発現は,顎関節痛の軽減による関節腔内の環境改善と関係がある可能性が示唆された.
【参考文献】
1) Minervini G, Nucci L, Lanza A, et al. J Biol Regul Homeost Agents 2020; 34 (1): 151-160.