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[P-90]The Effect of Nicotinamide Mononucleotide on the Differentiation of Osteoblast-like Cells

*Daisuke Yamaguchi1,2, Kazuo Takeuchi1, Ayaka Hattori1, Atsushi Araki1, Yuki Uchiyama1, Rihoko Takeuchi1, Suguru Kimoto1 (1. Department of Gerodontology and Home Care Dentistry, Aichi Gakuin University School of Dentistry, 2. Psychiatry and Behavioral Sciences, Stanford University School of Medicine)
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【目的】
 加齢に伴うNAD⁺(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)の低下が, 多くの加齢関連疾患の発症に関与することが示唆されている1). NAD⁺の前駆体であるNMN(ニコチンアミドモノヌクレオチド)は, 細胞内でNAD⁺に変換されることでNAD⁺依存性酵素を活性化させ, エネルギー代謝や細胞老化の抑制に寄与することが報告されている. しかしながら, NMNの骨代謝に及ぼす影響については不明な点が多い. そこで本研究では, 骨粗鬆症モデルマウスであるSAMP6(Senescence Accelerated Mouse Prone 6)由来の骨芽細胞様細胞にNMNを投与し, cDNAマイクロアレイを用いた網羅的解析を行い, NMNが骨芽細胞の分化に与える影響を明らかにすることとした.
【方法】
 16週齢の雌性SAMP6マウス7尾の大腿骨から骨髄細胞を採取し, 骨芽細胞分化誘導培地に懸濁した後, 培養皿に播種した. 70% コンフルエントに達した時点で, 12 well培養皿に播種した. 培養翌日から, 1mMの NMNを 7日間投与した (NMN投与群). またNMNを投与しないコントロール群を設定した. 培養4日目, 7日目および11日目においてWST-8法を用いて細胞数を測定した. 培養11日目にはAlizarin Red S染色を行い石灰化の評価をした. また, 培養4日目に培養細胞を回収してTotal RNAを抽出し, cDNAマイクロアレイ解析を実施した.
【結果と考察】
 培養4日目, 7日目および11日目において, NMN投与群で有意に細胞数が増加した(p<0.05). また, 培養11日目にはNMN投与群で石灰化の促進が認められた(p<0.05). NMN投与群において発現が2倍以上増加した遺伝子には, 骨芽細胞の代謝, 増殖および分化に関連する遺伝子が多数含まれていた. 一方, NMN投与群において発現が2倍以上減少した遺伝子には免疫応答に関する遺伝子が多く含まれていた. これらの結果から, NMNの投与が免疫応答を制御し, 骨芽細胞の分化を促進する可能性が示唆された.
【参考文献】
1) Covarrubias AJ, Perrone R, Grozio A, et al. NAD+ metabolism and its roles in cellular processes during ageing. Nat Rev Mol Cell Biol 2021; 22: 119–141.