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[課題4]Improving the mechanical property of resin composite block prevents the debonding of CAD-CAM resin crown

*Munechika Takaishi1, Atsushi Mine1, Shintaro Ban1, Masaya Ishida1, Keiko Mamuro1, Ryoma Ezaki1, Masahiro Yumitate1, Masahiro Nishimura1 (1. Osaka University Graduate School of Dentistry, Department of Regenerative Prosthodontics)
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【目的】
 2014年にCAD/CAMレジン冠が小臼歯に保険導入され,実臨床において高頻度の冠脱離が報告されている.日本補綴歯科学会の診療ガイドラインでは,CAD/CAM冠治療の考慮すべき事項として「部分床義歯の支台歯」や「最後臼歯」が示されているが,その根拠は不十分と言わざるをえない.また,レジンブロックの物性が予後に影響を与えると考えられているが,臨床研究において検討されていない.本研究では,小臼歯CAD/CAMレジン冠の臨床経過を調査し,冠脱離に与える要因を明らかにすることを目的とした.
【方法】
 1.臨床調査
 2019年4月から2022年12月の間に大阪大学歯学部附属病院口腔補綴科にて装着された小臼歯CAD/CAMレジン冠を対象とした.診療録から患者および支台歯の情報,イベント(脱離,破折等)発生の有無について調査した.Kaplan-Meier法を用いて生存曲線を描記し,Log-rank検定を用いて調査項目における生存曲線間の統計学的な差を確認した.
 2.レジンブロックの物性計測および冠脱離に及ぼす影響の統計学的解析
 臨床調査で用いられた全レジンブロックの物性として,①無機フィラー含有量,②吸水量,③ビッカース硬さ,④曲げ弾性率を新たに計測した.その上で,臨床研究で得られたデータを基に,ブロックの物性(①-④)に加え「部分床義歯の支台歯」や「最後臼歯」であることが冠脱離に及ぼす影響について,Cox比例ハザードモデルを用いて検討した.
【結果と考察】
 1.臨床調査
 調査期間内に装着された冠は714装置,患者は573名であった.主なイベントである冠脱離74装置の内訳は,ブロックの機能区分(Ⅰ)が38/157装置(24.2%),機能区分(Ⅱ)が36/557装置(6.5%)であった.単変量解析の結果,ブロックの機能区分の違いが冠脱離に有意な影響を与えた(図1).
 2.レジンブロックの物性計測および冠脱離に及ぼす影響の統計学的解析
 多変量解析の結果,吸水量と曲げ弾性率に有意差を認め,部分床義歯の支台歯か否か,最後臼歯か否かに有意差を認めなかった(表1).
 以上より,レジンブロックの物性向上が,冠脱離のリスクを抑制することが明らかとなった.
(発表に際して患者・被験者の同意を得た.倫理審査委員会名:大阪大学大学院歯学研究科・歯学部及び歯学部附属病院倫理審査委員会,承認番号:R5-E24)