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[課題8]Bioactive effect of auto-polymerizing resin with S-PRG filler

*Naoyuki Kaga1, Sho Morita1, Shoji Miyazono1, Kai Shibaguchi1, Yu Takaesu1, Yuichiro Yamaguchi1, Takashi Matsuura1 (1. Section of Fixed Prosthodontics, Department of Oral Rehabilitation, Fukuoka Dental College)
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【目的】
 Surface Pre-Reacted Glass-ionomer filler(S-PRGフィラー)は生体活性効果を示すことからさまざまな歯科材料に臨床応用されている.本研究の目的は,S-PRGフィラーを配合した試作アクリル常温重合レジンのバイオアクティブ効果を検討することである.
【方法】
 常温重合レジン(プロビナイス3S, 松風)にS-PRGフィラー(松風)を重量比で0, 10, 20, 30, 40wt%に調製した.S-PRGフィラー含有常温重合レジン(S-PRGレジン)をシリコンのゴム型に充塞し,円盤状試料(10mm×1.0mm)を作製した.各試料を乳酸溶液(pH 4.0, 37℃, 5mL)に浸漬し,24 時間毎に新しい乳酸溶液に交換し,28日まで継続して実験を行った.交換した溶液のpHを測定し,酸緩衝能及びフッ素(F)イオン濃度を測定した.アルミニウム(Al),ホウ酸(B),ナトリウム(Na),ケイ酸(Si),ストロンチウム(Sr)のイオン濃度をICP-OESを用いて,1, 7, 14, 21, 28 日経過ごとに測定した.円盤状試料中央にウシエナメル質(2.0mm×2.0mm)を埋入後,乳酸溶液(pH 4.0)に浸漬し,7日目にウシエナメル質表面を走査型電子顕微鏡(SEM: JSM-6330F, JEOL)で観察した.
【結果と考察】
 10wt%以上のS-PRGレジンでpH値は上昇した.24 時間でpH値は最高値を示し,それ以降は経時的に上昇値は減少した.10-40wt%S-PRGレジンでフィラー成分のAl,B,F,Na,Si,Srイオンが測定され,その濃度はSr>F>Si>B>Al>Naの順に高く,S-PRGフィラー配合量の増加に伴いイオン徐放量は増加した.しかし,pH値の上昇値とイオン徐放量は28日間で経時的に減少した.0wt%SPRGレジンのウシエナメル質では,エナメル質表面の明らかな脱灰が観察された.一方,S-PRGレジンと浸漬したウシエナメル質では,脱灰が観察されなかった(図).
 以上より,S-PRGフィラーを含有することでレジンには付加されていない酸緩衝能,イオン徐放性を有し,エナメル質の脱灰抑制が認められた.S-PRGフィラーを配合することで,常温重合レジンにバイオアクティブ効果を有することが示された.