Presentation Information
[O6-3]Use of a Separator to Correct Mesio-Distal Positional Discrepancy of a Crown Abutment Following Orthodontic Extrusion: A Case Report
*Yu Yamamoto1,2, Masaru Kaku1, Yoshiaki Arai2 (1. Division of Bio-Prosthodontics, Faculty of Dentistry & Graduate School of Medical and Dental Sciences, Niigata University, 2. Oral Implant and Temporomandibular Joint Clinic, Medical and Dental Hospital, Niigata University)
【緒言】
歯肉縁下に及ぶう蝕や歯質の欠損を有する歯の補綴治療において,補綴前処置により十分なフェルールの獲得と生物学的幅径の確保を行うことが重要であり,これらを達成するために,矯正的挺出は有効な治療法である.一方,矯正的挺出は歯軸方向の位置改善を目的とするため,挺出後に近接した隣接歯間関係などの近遠心的な位置不良が生じる場合がある.これらはマージンの設定や支台歯形成,印象採得を困難にし,補綴治療の予知性に影響を及ぼす可能性がある.しかし,矯正的挺出後に生じた近遠心的位置不良に対する具体的な対応について言及した報告は少ない.本報告では,矯正的挺出後に支台歯の近遠心的位置不良を認めた症例に対し,セパレーターを用いた限局的歯の移動を行い,良好な結果を得た一症例について報告する.
【症例の概要・治療内容】
50歳女性.2024年7月に「右下の抜歯後の治療法について知りたい」を主訴に来院した.主訴である右下6欠損に対してはインプラント治療を選択したが,対合歯である右上5に歯肉縁下に及ぶ歯質の欠損を認めた.患者は自由診療を含めた治療を希望していたことから,右上5に対し,補綴前処置として矯正的挺出を行った後に歯冠補綴を行う方針とした.MTM装置を用いた5週間の挺出により,歯肉縁上に十分な健全歯質を確保できたが,挺出中に隣在歯である右上4との近接が生じ,歯間スペースの不足が認められた.そこで追加処置として,セパレーターエラスティックを用いた限局的な歯の移動を行うこととした.右上5のプロビジョナルクラウン近心面にセパレーターを挿入し,随時コンタクト部にレジンを添加することで遠心方向への歯の移動を行った.7週間にわたり位置関係の修正を行った後,歯周外科処置により歯頚線の修正を行った.プロビジョナルクラウンで6か月間の保定を行った後に,ジルコニアクラウンによる最終補綴装置を装着した.
【経過ならびに考察】
セパレーターの使用により,右上5の近遠心的位置関係が改善され,歯列との調和が得られた結果,補綴学的に理想的な支台歯形態およびマージン設定が可能となった.最終補綴装置装着後は機能的・審美的に良好な結果が得られている.矯正的挺出後に限らず,近遠心的位置不良を有する支台歯に対して,セパレーターを用いた限局的歯の移動は,有用な補綴前処置の一手段となり得ることが示唆された.
歯肉縁下に及ぶう蝕や歯質の欠損を有する歯の補綴治療において,補綴前処置により十分なフェルールの獲得と生物学的幅径の確保を行うことが重要であり,これらを達成するために,矯正的挺出は有効な治療法である.一方,矯正的挺出は歯軸方向の位置改善を目的とするため,挺出後に近接した隣接歯間関係などの近遠心的な位置不良が生じる場合がある.これらはマージンの設定や支台歯形成,印象採得を困難にし,補綴治療の予知性に影響を及ぼす可能性がある.しかし,矯正的挺出後に生じた近遠心的位置不良に対する具体的な対応について言及した報告は少ない.本報告では,矯正的挺出後に支台歯の近遠心的位置不良を認めた症例に対し,セパレーターを用いた限局的歯の移動を行い,良好な結果を得た一症例について報告する.
【症例の概要・治療内容】
50歳女性.2024年7月に「右下の抜歯後の治療法について知りたい」を主訴に来院した.主訴である右下6欠損に対してはインプラント治療を選択したが,対合歯である右上5に歯肉縁下に及ぶ歯質の欠損を認めた.患者は自由診療を含めた治療を希望していたことから,右上5に対し,補綴前処置として矯正的挺出を行った後に歯冠補綴を行う方針とした.MTM装置を用いた5週間の挺出により,歯肉縁上に十分な健全歯質を確保できたが,挺出中に隣在歯である右上4との近接が生じ,歯間スペースの不足が認められた.そこで追加処置として,セパレーターエラスティックを用いた限局的な歯の移動を行うこととした.右上5のプロビジョナルクラウン近心面にセパレーターを挿入し,随時コンタクト部にレジンを添加することで遠心方向への歯の移動を行った.7週間にわたり位置関係の修正を行った後,歯周外科処置により歯頚線の修正を行った.プロビジョナルクラウンで6か月間の保定を行った後に,ジルコニアクラウンによる最終補綴装置を装着した.
【経過ならびに考察】
セパレーターの使用により,右上5の近遠心的位置関係が改善され,歯列との調和が得られた結果,補綴学的に理想的な支台歯形態およびマージン設定が可能となった.最終補綴装置装着後は機能的・審美的に良好な結果が得られている.矯正的挺出後に限らず,近遠心的位置不良を有する支台歯に対して,セパレーターを用いた限局的歯の移動は,有用な補綴前処置の一手段となり得ることが示唆された.
