Presentation Information
[P-139]Digitization of an Occlusal Map Using an Intraoral Scanner and a Virtual Articulator: A Case Report
*Makoto Okamoto1, Akari Miyazaki1, Mami Hamai1, Mimiko Okamoto1, Shingo Mori1, Keiichiro Nakashima1, Goro Nishigawa1, Kazuhiro Oki1, Michitaka Somoto1, Naoto Maeda1, Kentaro Akiyama2 (1. Chugoku-Shikoku Branch, 2. Department of Occlusal and Oral Functional Rehabilitation, Okayama University Graduate School of Medicine, Dentistry and Pharmaceutical Sciences)
【緒言】
無歯顎補綴において人工歯排列位置は義歯の安定に大きく影響する.我々は,口腔内で検査した片側性咬合平衡が得られる領域(Unilateral Balancing Area:以下UB-Area)を基に,咬合平面上で上下顎の対向関係を可視化したオクルーザルマップ(以下OM)を作成し,人工歯排列の指標として臨床応用している1).近年,義歯製作のデジタル化が進む中で,OMをデジタル環境で再現することには臨床的意義がある.今回,全部床義歯症例においてOMのデジタル化を試み,従来法との比較から得られた知見について報告する.
【症例の概要・治療内容】
患者は85歳女性,食べにくいことを主訴に来院した.上下無歯顎で全部床義歯を使用しており,義歯の不適合および人工歯排列不良による咀嚼障害と診断した.新義歯製作に際し,咬合採得時にUB-Areaの検査を行い,咬合器装着後,従来法によりOMを作成した.得られたOMを参考に人工歯排列を行い,義歯を完成させた.同時にOMのデジタル化を目的として,UB-Areaを記入した上下顎作業用模型をスキャンし3Dモデルを作成した.咬合関係を記録後,バーチャル咬合器上で模型の位置付けを行い,上顎模型の透明度を調整し,仮想咬合平面に垂直な上方視点からOMに類似したデジタル画像を作成した(図1).
【経過ならびに考察】
作成したデジタル画像では,従来法によるOMと比較して,上顎画像がやや大きく表示され,軽度の位置ずれが認められた.これは,バーチャル咬合器の表示画面が透視投影方式を採用しており,奥行き方向の位置関係に応じて拡大率が変化するためと考えられた.すなわち,デジタル環境における視点条件や投影方式が,咬合関係の評価に影響を及ぼす可能性が示唆された.一方,咬合平面から等距離で模型画像を取得し重ね合わせる従来法OMは,咬合力の作用点と顎堤領域との関係を安定して評価できる点で有用であることが,本症例を通じて再確認された.今後,人工歯排列のデジタル化やAIを用いた設計が進展する中で,OMやUB-Areaの概念を設計基準として取り入れることは,義歯の安定を考慮したデジタルデザインに寄与すると考えられた.
【参考文献】
1)岡本 信.よく噛める総義歯の設計図–オクルーザルマップを使用した人工歯排列法.歯界展望 2014;123:144-151.
無歯顎補綴において人工歯排列位置は義歯の安定に大きく影響する.我々は,口腔内で検査した片側性咬合平衡が得られる領域(Unilateral Balancing Area:以下UB-Area)を基に,咬合平面上で上下顎の対向関係を可視化したオクルーザルマップ(以下OM)を作成し,人工歯排列の指標として臨床応用している1).近年,義歯製作のデジタル化が進む中で,OMをデジタル環境で再現することには臨床的意義がある.今回,全部床義歯症例においてOMのデジタル化を試み,従来法との比較から得られた知見について報告する.
【症例の概要・治療内容】
患者は85歳女性,食べにくいことを主訴に来院した.上下無歯顎で全部床義歯を使用しており,義歯の不適合および人工歯排列不良による咀嚼障害と診断した.新義歯製作に際し,咬合採得時にUB-Areaの検査を行い,咬合器装着後,従来法によりOMを作成した.得られたOMを参考に人工歯排列を行い,義歯を完成させた.同時にOMのデジタル化を目的として,UB-Areaを記入した上下顎作業用模型をスキャンし3Dモデルを作成した.咬合関係を記録後,バーチャル咬合器上で模型の位置付けを行い,上顎模型の透明度を調整し,仮想咬合平面に垂直な上方視点からOMに類似したデジタル画像を作成した(図1).
【経過ならびに考察】
作成したデジタル画像では,従来法によるOMと比較して,上顎画像がやや大きく表示され,軽度の位置ずれが認められた.これは,バーチャル咬合器の表示画面が透視投影方式を採用しており,奥行き方向の位置関係に応じて拡大率が変化するためと考えられた.すなわち,デジタル環境における視点条件や投影方式が,咬合関係の評価に影響を及ぼす可能性が示唆された.一方,咬合平面から等距離で模型画像を取得し重ね合わせる従来法OMは,咬合力の作用点と顎堤領域との関係を安定して評価できる点で有用であることが,本症例を通じて再確認された.今後,人工歯排列のデジタル化やAIを用いた設計が進展する中で,OMやUB-Areaの概念を設計基準として取り入れることは,義歯の安定を考慮したデジタルデザインに寄与すると考えられた.
【参考文献】
1)岡本 信.よく噛める総義歯の設計図–オクルーザルマップを使用した人工歯排列法.歯界展望 2014;123:144-151.

