Presentation Information
[P-154]Prosthetic functional restoration for maxillary defects with contracture after reconstruction for lip separation: a case report
*Nobuko Shimazaki1, Miki Hoshi1, Akihiro Fukutoku1, Keito Sasaki1, Yuki Hachinohe1, Kazuhiko Suzuki2, Tsutomu Kudo2, Kazuhiro Kon1 (1. Division of Fixed Prosthodontics and Oral Implantology Department of Prosthodontics School of Dentistry Iwate Medical University, 2. Tohoku・Hokkaido Branch)
【緒言】
頭頸部がん治療後の顎欠損症例では,口唇拘縮や閉鎖不全を伴うことがあり,唾液流涎,構音障害,嚥下障害,審美障害など多様な機能障害を呈する.
今回,上顎歯肉癌術後に口唇裂開を認めた症例に対し,オブチュレータによる暫間的機能回復後,上口唇再建術および顎義歯補綴を行うことで機能回復ならびにQOL改善が得られた症例を報告する.
【症例の概要・治療内容】
患者は70歳男性.20X年に口腔内腫瘤を自覚し本学附属病院を受診したところ,上顎歯肉扁平上皮癌と診断された.温存療法を希望したためTPF併用放射線療法を施行したが,20X+6年に局所再発を認め,頭頸部外科にて上顎左側半側切除術が施行された.術後,上口唇正中と鼻翼側方に創部離開を生じたが,患者は外科的再建を希望せず,栓塞部閉鎖目的に顎顔面補綴外来へ紹介となった.
初診時,中顔面陥凹および鼻-上口唇移行部皮膚欠損を呈し,口腔内は上下顎無歯顎で上顎左側半側が欠損し,下顎左側頰粘膜には強い拘縮がみられた.口唇閉鎖不全による唾液流涎,嚥下・構音障害,審美障害を認めた.
まず天蓋開放型オブチュレータを装着し嚥下・構音機能の暫間的回復を図るとともに,創部離開部に医療用テープによる口唇固定を併用した.義歯製作希望により,20X+8年に形成外科にて瘢痕拘縮形成術,左側遊離大腿皮弁移植および筋膜移植術を施行したが,一部粘膜壊死と正中離開を認めたため,20X+9年に再度瘢痕拘縮形成術および交差皮弁術を施行し,良好な創傷治癒を得た.その後顎義歯製作を開始したが,上口唇および下顎左側頰粘膜の高度拘縮により軟組織可動性が低下していたため,複数回の試適調整を要した.咬合高径は拘縮の影響を考慮し,整容性よりも口唇閉鎖と嚥下機能を優先して低めに設定し,唇側豊隆は最小限とした.軽量化した天蓋開放型顎義歯を装着したところ,機能時における顎義歯の安定が得られた.
【経過ならびに考察】
機能評価として,義歯および「おいしさ」に関するVAS,25品目摂取可能食品アンケートを実施した結果,改善傾向を示した.顎顔面補綴においては欠損形態のみならず,再建後軟組織の性状および運動制限を十分評価したうえで補綴装置を設計することが重要である.本症例では頭頸部外科,形成外科,顎顔面補綴科が連携し,外科的再建と補綴的介入を段階的に行ったことにより,機能回復しQOLが向上したものと考えられた.
頭頸部がん治療後の顎欠損症例では,口唇拘縮や閉鎖不全を伴うことがあり,唾液流涎,構音障害,嚥下障害,審美障害など多様な機能障害を呈する.
今回,上顎歯肉癌術後に口唇裂開を認めた症例に対し,オブチュレータによる暫間的機能回復後,上口唇再建術および顎義歯補綴を行うことで機能回復ならびにQOL改善が得られた症例を報告する.
【症例の概要・治療内容】
患者は70歳男性.20X年に口腔内腫瘤を自覚し本学附属病院を受診したところ,上顎歯肉扁平上皮癌と診断された.温存療法を希望したためTPF併用放射線療法を施行したが,20X+6年に局所再発を認め,頭頸部外科にて上顎左側半側切除術が施行された.術後,上口唇正中と鼻翼側方に創部離開を生じたが,患者は外科的再建を希望せず,栓塞部閉鎖目的に顎顔面補綴外来へ紹介となった.
初診時,中顔面陥凹および鼻-上口唇移行部皮膚欠損を呈し,口腔内は上下顎無歯顎で上顎左側半側が欠損し,下顎左側頰粘膜には強い拘縮がみられた.口唇閉鎖不全による唾液流涎,嚥下・構音障害,審美障害を認めた.
まず天蓋開放型オブチュレータを装着し嚥下・構音機能の暫間的回復を図るとともに,創部離開部に医療用テープによる口唇固定を併用した.義歯製作希望により,20X+8年に形成外科にて瘢痕拘縮形成術,左側遊離大腿皮弁移植および筋膜移植術を施行したが,一部粘膜壊死と正中離開を認めたため,20X+9年に再度瘢痕拘縮形成術および交差皮弁術を施行し,良好な創傷治癒を得た.その後顎義歯製作を開始したが,上口唇および下顎左側頰粘膜の高度拘縮により軟組織可動性が低下していたため,複数回の試適調整を要した.咬合高径は拘縮の影響を考慮し,整容性よりも口唇閉鎖と嚥下機能を優先して低めに設定し,唇側豊隆は最小限とした.軽量化した天蓋開放型顎義歯を装着したところ,機能時における顎義歯の安定が得られた.
【経過ならびに考察】
機能評価として,義歯および「おいしさ」に関するVAS,25品目摂取可能食品アンケートを実施した結果,改善傾向を示した.顎顔面補綴においては欠損形態のみならず,再建後軟組織の性状および運動制限を十分評価したうえで補綴装置を設計することが重要である.本症例では頭頸部外科,形成外科,顎顔面補綴科が連携し,外科的再建と補綴的介入を段階的に行ったことにより,機能回復しQOLが向上したものと考えられた.
