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[4Yin-A-KA01](Other)言語・音声理解と対話処理研究会(SIG-SLUD)

〇三野 星弥1、伴 碧1、吉川 雄一郎1 (1. 大阪大学)
近年,人と親密な関係を築くことができる対話ロボットの実現が期待されている.本研究では,人同士の関係づくりにおいて知られている「その場にいない他者に対する否定的意見の共有」に着目した.人間同士では,共通の相手に対する否定的な意見を共有することで,話者間の心理的距離が縮まることが報告されている.では,同じことは人とロボットの関係にも当てはまるのだろうか.本研究は,この問いを明らかにすることを目的として,否定的意見の共有が人-ロボット間の親密な関係形成を促すかを検証した.
実験では,まず参加者は,人とロボットAが雑談している様子を撮影した動画を視聴した.その後,参加者は別のロボットBと,動画中のロボットAについて意見を共有する対話を行った.対話条件として,ロボットAの好ましくない点について話す否定条件と,好ましい点について話す肯定条件を設定し,10名の大学生および大学院生が両条件を体験した.ロボットBの発話は,大規模言語モデルを用いて生成され,参加者の発話を受けながら,ロボットAに対する肯定的または否定的な意見を共有するよう設計された.
実験の結果,否定的意見を共有した場合と肯定的意見を共有した場合の間で,ロボットBへの対話意欲や親しみに有意な差は見られなかった.すなわち,人間同士の関係で報告されてきた「他者への否定的意見の共有による親密化」は,人とロボットの関係ではそのまま再現されない可能性が示された.さらに,事後アンケートを通して,ロボットが悪口を言うことは,人間が悪口を言うことよりも倫理的に許容しにくいと考える参加者が一定数いることが分かった.その理由として,ロボットには人間のような感情やストレスがないため悪口を言う必要がない,ロボットは人を傷つけないよう設計されるべきである,といった意見が挙げられた.
また,ロボットが社会に悪影響を与えることを懸念する傾向が強い参加者や,ロボットによる悪口を倫理的に許容しにくい参加者ほど,否定的意見を共有するロボットを低く評価する傾向が示された.一方で,そのような懸念が弱い参加者では,否定的意見を共有するロボットに対する評価が相対的に高くなる傾向も確認された.つまり,他者への否定的意見の共有は,人-ロボット関係に対して一律に負の影響を与えるのではなく,利用者がロボットによる否定的発話をどのように捉えるかによって,その効果が異なることが示さ
れた.本研究は,人と親密な関係を築く対話ロボットを設計するうえで,単に人間同士のコミュニケーション方略を模倣するだけでは不十分であり,利用者の受け止め方やロボット特有の倫理的配慮を踏まえる必要がある可能性を示したものである.

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