The Annual Meeting of Japanese Society of Animal Science

【目的】生乳中の乳酸菌叢に関する研究例は少なく，特に北海道内の生乳に関する詳細な報告はない．そこで，道内産生乳中の乳酸菌叢を明らかにすることと単離した乳酸菌の性状調査を目的とした．

【方法】道内4地域で2015年08月に採取した生乳41サンプルから，M17およびLBS寒天培地を用いて乳酸菌を単離し，MALDIバイオタイパーで同定した．単離したLactobacillus属 とLactococcus属 については，プロバイオティクスの要件の一つである腸管到達性を評価するために低pH (pH 2.5, 3.0) と胆汁 (0.1, 0.2% Oxgall) 耐性試験を実施した．
【結果】単離した乳酸菌はLactobacillus属 166株，Streptococcus属122株，Lactococcus 属44株，Enterococcus属 31株，Pediococcus属8株，Leuconostoc属4株の計375株だった．Lactobacillus (Lb.) 属の最優勢菌種はLb. paracaseiで48.2%を占めていた．低pHおよび胆汁耐性試験について，Lactococcus属の多くが0.1% Oxgallに耐性を示したが，全株がpH 3.0に耐性がなかった．一方，Lactobacillus属の多くはpH 3.0ならびに0.1% Oxgallに耐性を示し，pH 2.5および0.2% Oxgallに対しても5株が耐性を示した．