[IIYS-07]幼若期のパイエル板形成を理解するための3D可視化技術を用いた機能形態学的解析
*Anri Teshigahara1, Nao Koyama1, Yoshifumi Sakai1, Hiromi Yoshida2, Mitsuji Kaji2, Shintaro Sato3, Mutsumi Furukawa1, Tomonori Nochi1(1. Graduate school of Agricultural science, Tohoku University, 2. Tohoku University Institute of Aging Medicine , 3. Faculty of Pharmaceutical Sciences, Wakayama Medical University)
目的:出生後の免疫機構の迅速な立ち上げは、幼若家畜の健全な育成に欠かせない。中でも、腸管免疫機能を向上させる上で、パイエル板の形態および機能形成機序を正しく理解することが不可欠であり、特に、パイエル板を立体として捉えた機能形態学的解析が求められてきた。本研究では、3D構築用のソフトウェア(Amira)を駆使したパイエル板の立体的な組織解析および、幼若期のパイエル板の機能形態形成機序に与える抗原取込みM細胞の役割を明らかにすることで、離乳前後のパイエル板の形態形成と機能成熟を促す要素の探索を行うことを目的とした。 方法:2、4、10週齢のマウスの空腸パイエル板を採材し、B細胞集積(濾胞)と、細胞増殖が盛んな活性化領域を明確化するための2D組織学的解析を行い、得られた連続画像を、Amiraを用いた3D再構築に供した。また、M細胞欠損マウスを用いても同様の解析を行った。 結果:パイエル板内の活性化領域は、哺乳期では濾胞間隙に認められた。離乳直後ではその領域は消失し、一方で、濾胞内の胚中心内で明確に認められ、発達後もその領域は維持されていた。また、M細胞欠損マウスの離乳直後の濾胞内に発達する活性化領域は、その立体構造に明らかな異常をもたらしていた。 考察:離乳前後のパイエル板の形態は大きく異なっており、特に離乳後は、M細胞を介して取り込まれる抗原依存的な発育機構が存在していることが示唆された。
