Presentation Information
[O1-3]10例の経験から見えてきた、ロボット支援大腸癌手術における蛍光尿管ステントIRISの有用性
加藤 潤紀, 牛込 創, 奥山 晃世, 福田 真里, 秋山 真之, 浅井 宏之, 上原 崇平, 加藤 瑛, 鈴木 卓弥, 山川 雄士, 佐川 弘之, 佐藤 崇文, 瀧口 修司 (名古屋市立大学病院消化器外科)
【背景】
医原性尿管損傷は大腸癌手術においては重大な合併症の一つであるが、術中のみならず術後に判明し、対応に難渋する場合もある。当科で用いている蛍光尿管ステント(IRIS)は近赤外光を利用することで術中に尿管を可視化する機器であり、触覚のないロボット支援下手術に大きな役割を果たすと考えている。今回、IRISを用いることで安全に手術を実施することが出来た症例が10例に達したため、報告する。
【症例と方法】
2022年3月から2025年3月までに当院で実施したロボット大腸癌手術のうち、IRISを使用した10例を対象とした。腫瘍局在は結腸癌4例、直腸癌6例であった。全身麻酔後に、IRISを透視下に留置しda Vinci Xi Surgical Systemを用いて手術を行った。
【結果】
10例のうち、8例は尿管浸潤の疑い、1例は尿管周囲の炎症のため、1例は解剖学的偏位を認めたため、IRISを使用した。特に1例は腎移植後の重複尿管症例であった。IRISはda Vinciスコープの近赤外光モードでは緑色に発光し全例直ちに視認できた。興味深い事に、通常のカメラモードであってもIRISは全例白色に発光し、全例直ちに同定可能であったためモード変更をすることなく尿管を認識しながら手術可能であった。
10例のうち8例は尿管を温存可能であった。1例は腫瘍浸潤のため、1例は腫瘍剥離後に尿管の血流障害が疑われたため、尿管を合併切除した。IRIS挿入に伴う合併症は認めなかった。腎機能への影響も評価したが、術前と術後1日目の血中クレアチニン値はほとんど
変化しなかった(p=0.91)。※腎移植後で透析中の1症例を除く
【結論】
IRISを用いることで全例尿管の同定が可能であるだけでなく、通常モードでも確認出来、快適に手術を行えることがわかった。IRIS留置に伴う明らかな合併症も認めておらず、IRISの有効性と安全性が示唆された。
医原性尿管損傷は大腸癌手術においては重大な合併症の一つであるが、術中のみならず術後に判明し、対応に難渋する場合もある。当科で用いている蛍光尿管ステント(IRIS)は近赤外光を利用することで術中に尿管を可視化する機器であり、触覚のないロボット支援下手術に大きな役割を果たすと考えている。今回、IRISを用いることで安全に手術を実施することが出来た症例が10例に達したため、報告する。
【症例と方法】
2022年3月から2025年3月までに当院で実施したロボット大腸癌手術のうち、IRISを使用した10例を対象とした。腫瘍局在は結腸癌4例、直腸癌6例であった。全身麻酔後に、IRISを透視下に留置しda Vinci Xi Surgical Systemを用いて手術を行った。
【結果】
10例のうち、8例は尿管浸潤の疑い、1例は尿管周囲の炎症のため、1例は解剖学的偏位を認めたため、IRISを使用した。特に1例は腎移植後の重複尿管症例であった。IRISはda Vinciスコープの近赤外光モードでは緑色に発光し全例直ちに視認できた。興味深い事に、通常のカメラモードであってもIRISは全例白色に発光し、全例直ちに同定可能であったためモード変更をすることなく尿管を認識しながら手術可能であった。
10例のうち8例は尿管を温存可能であった。1例は腫瘍浸潤のため、1例は腫瘍剥離後に尿管の血流障害が疑われたため、尿管を合併切除した。IRIS挿入に伴う合併症は認めなかった。腎機能への影響も評価したが、術前と術後1日目の血中クレアチニン値はほとんど
変化しなかった(p=0.91)。※腎移植後で透析中の1症例を除く
【結論】
IRISを用いることで全例尿管の同定が可能であるだけでなく、通常モードでも確認出来、快適に手術を行えることがわかった。IRIS留置に伴う明らかな合併症も認めておらず、IRISの有効性と安全性が示唆された。