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[O1-8]横行結腸癌術後局所再発に対しロボット支援下手術を施行した一例

鈴木 淳平, 吉村 雪野, 白 京訓, 鈴木 淳一 (板橋中央総合病院消化器病センター外科)
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【症例】
 75歳男性。7年前にS状結腸癌と横行結腸癌の同時手術を施行した患者。ともにStage Ⅰの病理結果であった。術後5年再発なくフォロー終了としていたが、他科で施行したCT検査にて左上腹部に存在する横行結腸切除吻合部近傍に3cm大の結節性病変を認めた。全身精査の結果、他の遠隔転移病変は認めなかったため、術後局所再発の診断で手術方針としロボット支援下手術を施行した。
【手術所見】
 ポート配置は、脾弯曲部をターゲットとする左側横行結腸癌に対するL字型の配置とした。まず尾側からのアプローチで結腸間膜と後腹膜との癒着を剥離し、吻合部背側の結腸間膜内に再発病変を同定。次に頭側からもアプローチを行い、膵体部下縁に同病変部を同定した。再発病変と前回吻合部との境界が不明瞭であったため、吻合部とともに切除する方針とした。再度、尾側からアプローチし、病変部を後腹膜側から剥離した。再発病変は中結腸動脈からの分枝を巻き込んでいたため、これを中枢側で処理した。肛門側結腸を体腔内で離断した後、病変部を体外に導出し吻合部とともに切除した。吻合は腹腔鏡下に体腔内でOverlap吻合とした。手術時間393分。出血量5㏄。術後経過良好で術後7日目に退院した。
【考察と結論】
 局所再発の手術では、前回手術による非生理的な癒着や再発病変による周囲組織の変化を伴う。手術は腫瘍の露出なく完全切除することが肝要であるが、病変部の奥にも手が届いて様々な方向からアプローチできる点や、脈管への浸潤部で繊細な操作が可能な点において、ロボット支援下手術が非常に有用であった。