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[O11-5]S状結腸未分化癌術後遠隔リンパ節再発に対する6次治療後にアブスコパル効果を認めcCRとなった一例
河野 香織, 宮北 寛士, 西田 莉子, 大宜見 崇, 茅野 新, 山本 聖一郎 (東海大学医学部付属病院消化器外科)
【症例】77歳,男性.【現病歴】S状結腸癌に対し前医で2018年7月に腹腔鏡下S状結腸切除術を施行した.2019年2月に骨盤内リンパ節,大動脈周囲リンパ節への再発を認め,全身化学療法を開始した.1st lineでCAPOX+Bmab, 2nd lineでCAPEIRI+Bmab, 3rd lineで Irinotecan+Pmab,4th lineで FTD/TPI+Bmab,5th lineでRegorafenibを施行するもPDとなり,骨盤内リンパ節の制御が乏しくCRT(Chemoradiotherapy : 60Gy/30fr with S1) を施行した.CRT後に6th lineとしてFOLFIRI+RAMを施行したところ,骨盤内リンパ節だけでなく照射範囲外の大動脈周囲リンパ節, 右頚部リンパ節の著明な縮小を認めた.6th lineを16か月継続後, cCRを維持していたため無治療経過観察とした. 以後2年間, 無治療経過観察でcCRを維持している.【考察】結腸癌の未分化癌は8%と比較的稀であり,5年生存率は20%程度と予後が悪い.本症例でも5th lineまで病勢制御は困難であったが,CRTを施行後,骨盤内リンパ節転移は著明に縮小し遠隔リンパ節の消失も認めた.アブスコパル効果は, 放射線治療によって照射野外の病巣も縮小する極めて稀な現象であり, 放射線治療から誘導された免疫系による抗腫瘍反応であると考えられている.2000年から2025年においてPubMedでキーワード colorectal cancerとthe abscopal effectで検索したところ,自験例以外認めなかった.極めて稀な現象を経験した. 本症例について若干の文献的考察を加えて報告する.