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[O11-6]透析中の切除不能、再発大腸癌に対して抗癌剤治療を行った2症例

本郷 久美子, 田島 佑樹, 大澤 桃香, 渡部 希美, 大谷 理紗, 室井 貴子, 西村 英理香, 林 啓太, 藤崎 洋人, 高野 公徳, 中川 基人 (平塚市民病院)
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【症例1】80才女性。既往に脳梗塞、糖尿病、慢性腎障害、腹部大動脈瘤(AAA)があった。72才時に直腸癌に対して腹腔鏡下低位前方切除、回腸人工肛門造設を施行、病理組織学的にはT3N0StageⅡaと診断された。75才時に右側方リンパ節に再発を認め、同部位へ放射線照射を施行。77才時に骨盤内リンパ節、肺転移再発を認めたため、透析導入後に化学療法開始となった。1コース目としてカペシタビン+ベバシズマブを開始、22カ月継続したが、肺転移増大を認めたため2コース目UFT内服を開始した。しかし緩徐な増大を認めるとともにADL低下を認めたため10カ月で中止とし、その10カ月後、80才で亡くなった。再発からの生存期間は60カ月であった。
【症例2】83才男性。既往に末期腎不全による透析中、AAAを認めた。
80才時、AAAフォロー中のCT検査で肺癌、転移性肝腫瘍を指摘された。精査の結果、肺腺癌、S状結腸癌を認め、肝腫瘍は肝生検の結果、S状結腸癌の転移、StageⅣであることがわかった。腸管の狭窄は来しておらず、肺癌に対して照射を施行後、1コース目としてカペシタビン内服を開始した。4カ月行うもPDとなり、2コース目にイリノテカン投与を開始、5カ月継続するもPDのため。3コース目としてイリノテカン+パニツムマブを開始。これは一時著効するも10カ月でPDとなった。4コース目はイリノテカン+ベバシズマブを5カ継続し縮小効果を認めていたが、副作用からレジメン変更し。5コース目パニツムマブ単独投与を2カ月行った。病変はPDとなった上、ADLが落ちてしまったことから、抗癌剤投与を中止した。治療開始より約27カ月であった。
【考察】透析中の切除不能、再発大腸癌の2症例に対して、抗癌剤治療を行った。いずれの症例とも投与量の調整、慎重な管理を必要としたが、化学療法を施行することで通常の症例とほぼ同等の腫瘍制御効果を得られた。特にベバシズマブ、パニツムマブは使用に際して減量の必要がなく、高い効果が得られたと考える。
【結語】透析中の大腸癌化学療法では使用薬剤、投与量が限定されるが、治療を検討する価値がある。