Presentation Information
[O12-5]放射線治療を併用しない術前化学療法による高度進行直腸癌の治療経験
大城 泰平, 新谷 裕美子, 井上 英美, 西尾 梨沙, 古川 聡美, 岡本 欣也, 山名 哲郎 (東京山手メディカルセンター大腸肛門病センター)
【はじめに】
局所および遠隔再発リスクの高い高度進行直腸癌に対し、当科では術前化学療法(NAC)を導入している。今回、膿瘍形成を含む高度進行例に対するNACの安全性と治療成績を後方視的に検討した。
【対象および方法】
2022年4月〜2025年3月に当科で治療を行ったcT4b、cN2-3、膿瘍形成を伴う高度進行直腸癌14例を対象とした。遠隔転移を有する3例を含む。原則としてXELOX+ベバシズマブを4〜6コース投与後、切除可能と判断した場合に手術を行い、照射は原則省略した。
【結果】
対象は男性11例、女性3例、年齢中央値62歳(36〜77)。cT4b:10例、cN2-3:8例、膿瘍形成:5例(重複あり)。NAC後の治療効果はCR:1例、PR:12例、NC:1例であった。手術術式はLAR:4例、APR:6例、TPE:4例で、下部直腸癌に対してはLLNDを併施。Grade 2以上の術後合併症は3例(尿路感染2例、腎瘻造設1例)に発生。病理学的効果はGrade 0:1例、Grade 1a:8例、1b:2例、Grade 3:2例であった。ypStageは0:2例、II:2例、IIIc:7例、IV:3例。局所R0切除率は12/14例(86%)。術後補助化学療法は7例に実施。遠隔再発は5例(肺3、肝1、大動脈周囲リンパ節1)、骨盤内再発2例(#280リンパ節、会陰)であった。骨盤内再発は切除を実施した。
【考察】
膿瘍形成を含む高度進行例に対してもNACは感染の悪化を来すことなく安全に施行可能であり、R0切除率や局所制御は良好であった。一方で、5例に早期に遠隔転移再発を認め、化学療法強化の必要性が示唆された。
【結語】
高度進行直腸癌に対する術前化学療法は安全に施行可能であり、良好な局所制御を得たが、術後早期の遠隔再発例を認め、より強力な全身療法の検討が課題と考えられた。
局所および遠隔再発リスクの高い高度進行直腸癌に対し、当科では術前化学療法(NAC)を導入している。今回、膿瘍形成を含む高度進行例に対するNACの安全性と治療成績を後方視的に検討した。
【対象および方法】
2022年4月〜2025年3月に当科で治療を行ったcT4b、cN2-3、膿瘍形成を伴う高度進行直腸癌14例を対象とした。遠隔転移を有する3例を含む。原則としてXELOX+ベバシズマブを4〜6コース投与後、切除可能と判断した場合に手術を行い、照射は原則省略した。
【結果】
対象は男性11例、女性3例、年齢中央値62歳(36〜77)。cT4b:10例、cN2-3:8例、膿瘍形成:5例(重複あり)。NAC後の治療効果はCR:1例、PR:12例、NC:1例であった。手術術式はLAR:4例、APR:6例、TPE:4例で、下部直腸癌に対してはLLNDを併施。Grade 2以上の術後合併症は3例(尿路感染2例、腎瘻造設1例)に発生。病理学的効果はGrade 0:1例、Grade 1a:8例、1b:2例、Grade 3:2例であった。ypStageは0:2例、II:2例、IIIc:7例、IV:3例。局所R0切除率は12/14例(86%)。術後補助化学療法は7例に実施。遠隔再発は5例(肺3、肝1、大動脈周囲リンパ節1)、骨盤内再発2例(#280リンパ節、会陰)であった。骨盤内再発は切除を実施した。
【考察】
膿瘍形成を含む高度進行例に対してもNACは感染の悪化を来すことなく安全に施行可能であり、R0切除率や局所制御は良好であった。一方で、5例に早期に遠隔転移再発を認め、化学療法強化の必要性が示唆された。
【結語】
高度進行直腸癌に対する術前化学療法は安全に施行可能であり、良好な局所制御を得たが、術後早期の遠隔再発例を認め、より強力な全身療法の検討が課題と考えられた。