Presentation Information
[O14-4]DNAメチル化を標的としたリキッドバイオプシーによるStage IV大腸癌予後予測層別化の有用性
百瀨 裕隆, 杉本 起一, 幸地 彩貴, 入江 宇大, 仲川 裕喜, 濱田 篤彦, 藤﨑 隆, 安藤 祐二, 十朱 美幸, 村井 勇太, 髙橋 宏光, 土谷 祐樹, 塚本 亮一, 本庄 薫平, 盧 尚志, 石山 隼, 髙橋 玄, 冨木 裕一, 坂本 一博 (順天堂大学医学部下部消化管外科)
【背景】Stage IV大腸癌における長期予後において,遠隔転移巣切除が真に有効な症例を予測する因子の解明は十分ではない.近年,リキッドバイオプシーは低侵襲性や治療経過の経時的変化のモニタリングが可能という利点から,多くの研究が行なわれている.一方,DNAメチル化は癌の発生や進展に重要な役割を果たしていることが報告されている.
【目的】Stage IV大腸癌におけるDNAメチル化を標的としたリキッドバイオプシーの意義について報告する.
【方法】当科で手術を施行したStage IV大腸癌95例を対象とした.3つの遺伝子(CHFR, SOX11およびCDO1)を対象とし,血漿中のDNAを抽出後に定量的メチル化特異的PCR(qMSP)で測定した.各症例における相対的DNAメチル化レベル(RMV)を算出した.1) 観察期間内における再発をエンドポイントとして各遺伝子におけるカットオフ値を求め,各RMVを高値群,低値群の2群に分け,他の臨床病理学的因子と共に長期予後(RFS)との関連性について根治度別に検討した.2) 原発巣組織におけるRAS遺伝子変異の有無別に各遺伝子におけるRMVを比較した.
【結果】1) 根治度BにおけるRFSの比較で有意差を認めた因子は,原発巣腫瘍径(p=0.03)およびCHFR-RMV(p=0.001)であった.多変量解析では,原発巣腫瘍径(HR=2.19, p=0.046)およびCHFR-RMV(HR=2.63, p=0.008)が独立した予後因子として選択された.また,3遺伝子全てにおいてRMVが低値群である症例ではRFSが良好である傾向がみられた(p=0.08,5年RFS: 50.5%).2)原発巣組織におけるRAS遺伝子変異の有無別に比較すると,変異を有する根治度B症例においてCHFR-RMVが有意に高値であった (p=0.048).
【結論】DNAメチル化をターゲットとしたリキッドバイオプシーはStage IV大腸癌における長期予後の層別化に有用であった.また,その背景としてStage IV大腸癌におけるゲノム不安定性がDNAメチル化を惹起している可能性が示唆された.
【目的】Stage IV大腸癌におけるDNAメチル化を標的としたリキッドバイオプシーの意義について報告する.
【方法】当科で手術を施行したStage IV大腸癌95例を対象とした.3つの遺伝子(CHFR, SOX11およびCDO1)を対象とし,血漿中のDNAを抽出後に定量的メチル化特異的PCR(qMSP)で測定した.各症例における相対的DNAメチル化レベル(RMV)を算出した.1) 観察期間内における再発をエンドポイントとして各遺伝子におけるカットオフ値を求め,各RMVを高値群,低値群の2群に分け,他の臨床病理学的因子と共に長期予後(RFS)との関連性について根治度別に検討した.2) 原発巣組織におけるRAS遺伝子変異の有無別に各遺伝子におけるRMVを比較した.
【結果】1) 根治度BにおけるRFSの比較で有意差を認めた因子は,原発巣腫瘍径(p=0.03)およびCHFR-RMV(p=0.001)であった.多変量解析では,原発巣腫瘍径(HR=2.19, p=0.046)およびCHFR-RMV(HR=2.63, p=0.008)が独立した予後因子として選択された.また,3遺伝子全てにおいてRMVが低値群である症例ではRFSが良好である傾向がみられた(p=0.08,5年RFS: 50.5%).2)原発巣組織におけるRAS遺伝子変異の有無別に比較すると,変異を有する根治度B症例においてCHFR-RMVが有意に高値であった (p=0.048).
【結論】DNAメチル化をターゲットとしたリキッドバイオプシーはStage IV大腸癌における長期予後の層別化に有用であった.また,その背景としてStage IV大腸癌におけるゲノム不安定性がDNAメチル化を惹起している可能性が示唆された.