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[O14-7]結腸癌pStageⅡ,Ⅲにおける病理組織学的観点からの再発時期の検討

岡田 純一, 茂田 浩平, 原田 優香, 中山 史崇, 門野 政義, 森田 覚, 岡林 剛史, 北川 雄光 (慶應義塾大学医学部外科学教室(一般・消化器))
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【背景】術後再発の抑制を目的とした補助化学療法は,R0切除を達成した再発リスクが高いpStageⅡ結腸癌とpStageⅢ結腸癌が適応となる。再発リスクが高いpStageⅡ結腸癌の病理組織学的因子として、T4、低分化癌、脈管リンパ管侵襲、傍神経浸潤、蔟出(Tumor Budding: BD)などがあげられる。BDは近年注目されている病理組織学的予後因子であるが、BDと再発時期の明確な関連は十分に解明されていない。本研究では、BDとリンパ節転移陽性例を比較し,再発時期との関連性について検討することを目的とした。
【方法】2019年から2024年までの期間に,当科で根治手術を施行したpStage II, III結腸癌を対象とし,BD1-2群とBD3群の2群に分けて比較を行った。Primary outcomeをTTRとしてLog-rank検定、Wilcoxon検定およびCox回帰分析を用いて統計学的解析を行った.
【結果】対象症例は248例であり,BD1-2群は201例(80%),BD3群は47例(20%)であった.リンパ節転移陰性例は120例(48%)、陽性例は128例(52%)であった。男性が138例,女性が110例,平均年齢は69.5±14.0歳,観察期間は32.7±18.2ヶ月であった.観察期間中の再発例はBD1-2群で26例(13%),BD3群で14例(30%);リンパ節転移陰性例では11例(9%)、陽性例では29例(23%)であった.TTRについて臨床病理組織学的背景因子との関連性をCox回帰分析で多変量解析を行うと,所属リンパ節転移 [ HR 2.383, 95%CI1.149-4.944, p=0.020)とpT4 [ HR2.561, 95%CI 1.250-3.590, p=0.010)が有意に関連していた.また,BD3 [ Hazard Ratio (HR) 1.761, 95% Confidence Interval (CI).0.866-3.590, p=0.120 ]についてもTTRと関連する傾向にあった.Kaplan Meier曲線での解析では,BD3群およびリンパ節転移陽性例はTTRが有意に短縮することが分かった(BD3 p=0.003,リンパ節転移陽性 p=0.008).さらに,1年無再発率はBD1-2群は94.0%に対しBD3群は77.3%、リンパ節転移陰性例は92.5%に対しリンパ節転移陽性例は89.4%と,早期再発例はBD3症例で多いことが分かった。
【結語】pStage II, III結腸癌においてBD 3はTTRと関連する傾向が示唆された。また,BDは早期再発例の抽出に優れている可能性が示唆された。