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[O15-1]当院における大腸癌肝転移手術症例の検討
佐藤 圭佑, 須藤 剛, 本荘 美菜子, 望月 秀太郎, 深瀬 正彦, 飯澤 肇 (山形県立中央病院外科)
【背景】大腸癌肝転移に対する肝切除は予後改善に有効とされるが、依然として再発率も高く、長期予後の改善が課題である。【対象】当院にて2020年1月から2024年12月までに大腸癌肝転移に対して手術を施行した57例を対象とした。【結果】男性37例、女性20例、年齢中央値は69歳(39-85歳)であった。原発巣の内訳は盲腸/上行結腸/横行結腸/下行結腸/直腸=3/3/10/1/10/32、初回手術時のpStageはそれぞれI/IIa/IIb/IIc/IIIa/IIIb/IIIc/IVa/IVb/IVc=3/3/1/1/2/15/5/24/2/1例であった。原発巣切除後から肝転移出現までの期間の中央値はStage Iで21ヶ月(7-24ヶ月)、Stage IIで9ヶ月(6-30ヶ月)、Stage IIIで12ヶ月(6-64ヶ月)であった。同時性肝転移を認めた26例のうち原発巣と同時に肝切除を施行したのは5例(19%)であり、残る21例は原発巣の切除を先行した。肝臓同時切除例の5例のうち2例では術前化学療法を施行し、原発巣の切除を先行した21例では19例に術前化学療法が施行されていた。Clavien-Dindo分類Grade III以上の合併症は5例(8.8%)に認め、胆汁漏2例(3.5%)、ARDS1例(1.8%)、横行結腸捻転1例(1.8%)、創し開1例(1.8%)であった。肝切除によりR0切除となった症例は57例中51例であり、そのうち33例に再発を認め(再発率64.7%)、再発形式は肝転移/肺転移/肺転移および肝転移/播種/リンパ節転移=18/7/5/2/1例であった。肝切除後の肝転移再発についても17例で再度肝切除が施行されていた。初回肝切除後の全生存期間は30.5ヶ月(3-55ヶ月)であった。【考察】当院における大腸癌肝転移切除症例の治療成績は概ね既報と同等であった。さらなる長期予後の改善のために、化学療法を組み合わせた治療計画の検討が必要になると考える。