Presentation Information
[O16-1]分娩後の便・ガス失禁発生頻度についての調査検討
高橋 知子1, 末光 徳匡2, 加藤 健宏1, 青木 沙弥佳1, 本城 弘貴1, 宮崎 彰成1, 草薙 洋1 (1.亀田総合病院消化器外科, 2.東京慈恵会医科大学産婦人科講座)
はじめに:便失禁は女性の生活の質を大きく低下させる骨盤底障害の一つである. 分娩は女性における便失禁の原因として非常に重要な要因である. 分娩後の便失禁発生頻度についてはいくつかの論文は存在しているが, 本邦における調査はほとんどない. また昨今日本において増加傾向の無痛分娩について, 排便への影響についての知見も少ないのが現状である.
目的:分娩後に発生する便失禁の発生頻度を明らかにする. 無痛分娩が便失禁へ影響しているかどうか検討する.
方法:2018年6月から2019年5月までに当院で出産された女性に対してアンケート用紙を用いた後ろ向きコホート研究を行った. 日本語版the Pelvic Floor Distress Inventory-20 ( PFDI-20) 質問票を使用し, 研究参加同意を得られた, 妊娠37週以降の分娩, 単胎妊娠女性に対し分娩から6-15ヶ月の時点での症状を調査した. 分娩様式(経腟または帝王切開)は問わなかった. 回答が得られた症例に対してガス失禁, 便失禁のグループに分け検討を行った.
結果:対象期間に336例の分娩件数があり, 研究の対象者は313例, そのうち十分な回答が得られた212例において検討を行った. 年齢は中央値で33歳(19-41), 109名が初産であった. 分娩様式では133例(16.5%)が自然分娩, 吸引または鉗子分娩が35例(16.5%), 帝王切開が44例(20.8%)であった. 会陰裂傷ではなしが99例 (46.7%), 1度が11 例(5.2%), 2度が98例 (46.2%), 肛門括約筋損傷である3度が4例 (1.9%)であった. 分娩後38例(17.9%)でガス失禁, 9例(4.2%)で便失禁が見られた. ガス失禁群では,器械分娩が4例, 帝王切開が8例 , 無痛分娩は 5例見られた. 便失禁群は全て無痛を使用しない経腟分娩であった. 両群ともに肛門括約筋損傷は診断されなかった.
結論:分娩後のガス失禁は17.9%, 便失禁は4.2%であった. 無痛分娩は分娩後の便失禁への影響は大きくないことが示唆された.
目的:分娩後に発生する便失禁の発生頻度を明らかにする. 無痛分娩が便失禁へ影響しているかどうか検討する.
方法:2018年6月から2019年5月までに当院で出産された女性に対してアンケート用紙を用いた後ろ向きコホート研究を行った. 日本語版the Pelvic Floor Distress Inventory-20 ( PFDI-20) 質問票を使用し, 研究参加同意を得られた, 妊娠37週以降の分娩, 単胎妊娠女性に対し分娩から6-15ヶ月の時点での症状を調査した. 分娩様式(経腟または帝王切開)は問わなかった. 回答が得られた症例に対してガス失禁, 便失禁のグループに分け検討を行った.
結果:対象期間に336例の分娩件数があり, 研究の対象者は313例, そのうち十分な回答が得られた212例において検討を行った. 年齢は中央値で33歳(19-41), 109名が初産であった. 分娩様式では133例(16.5%)が自然分娩, 吸引または鉗子分娩が35例(16.5%), 帝王切開が44例(20.8%)であった. 会陰裂傷ではなしが99例 (46.7%), 1度が11 例(5.2%), 2度が98例 (46.2%), 肛門括約筋損傷である3度が4例 (1.9%)であった. 分娩後38例(17.9%)でガス失禁, 9例(4.2%)で便失禁が見られた. ガス失禁群では,器械分娩が4例, 帝王切開が8例 , 無痛分娩は 5例見られた. 便失禁群は全て無痛を使用しない経腟分娩であった. 両群ともに肛門括約筋損傷は診断されなかった.
結論:分娩後のガス失禁は17.9%, 便失禁は4.2%であった. 無痛分娩は分娩後の便失禁への影響は大きくないことが示唆された.